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デサント
羽田仁 取締役 海外セールス部門長 兼 上海迪桑特商業有限公司総経理
ブランド発信はグローバルで、商品は現地企画

update: 2012/07/09

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デサント、 羽田仁取締役海外セールス部門長

デサント、
羽田仁取締役海外セールス部門長

国内に次ぐ成長分野としてアジア市場に力を注いでいるデサント。2012年3月期連結に占める海外売上高は278億円(23%増)で比率は34%(5ポイント増)まで拡大した。中でも主力を占めているのがアジア地域で、259億円(29.5%増)と海外売上の90%以上を占めている。円高や欧州の経済危機など不確定要素はあるが、今後も成長エンジンとしての位置付けは変わらない。海外の販売を管理する海外セールス部門長で、上海迪桑特商業有限公司(上海デサント)の総経理を兼務する羽田仁取締役に話を聞いた。

香港を拡販の拠点に

海外の拡販を考える上で避けて通れないのが地域間格差。日本とは趣味・嗜好が異なるお国柄を考慮し、売る商品も変えなくてはならない。もちろん日本企画で日本製の商品のニーズもあるが、売上規模を拡大するためにはやはり現地企画が必要になってくる。

「当社が考えるアジア市場の大きなくくりは韓国、中国、香港=東南アジア。香港をキーに展開します。この3つの地域で考えていかないといけない。南は香港をキーに『アリーナ』ブランドが第一弾になります。今後、『ルコックスポルティフ』も展開していこうとしています。別注を企画できるデザイナーなどスタッフを香港中心に体制を整えようとしています」

「現在、香港迪桑特貿易有限公司(香港デサント)を拠点にして、特に東南アジア諸国への拡販を進めています。香港は完全なディストリビューション(代理店機能)だったが、今度は香港デサントが輸入して販売する体制に改めました。ベースは日本企画の商品だが、特に夏物は現地企画でデザイナーを置いていきたい。このほど『アリーナ』ブランドでそういった体制を整えました」

デサントの海外販売で最も進んでいるのが韓国市場だ。デサントコリアを通じ現地企画の商品を製造、販売している。アジアの売上高259億円のうち、約80%の213億円を占めている。

「市場の仕組みの違いもありますが、結果的に韓国市場の展開が早くなっています。要因は2つあり、ロットと人材の面で進んでいる。同じことを中国で求めても人材がいないので、日本からサポートせざるを得ないのが現状。他方で、一気に多店舗化しないとロットがまとまらないという面もありますが。『ルコックゴルフ』『ルコックスポルティフ』『デサント』と成功事例を作ってきています」

「デサントコリアでは、とにかく意思決定が速い。何をどう提案してどう売っていくかまでの打ち合わせが展示会の段階で決まる。生産のリードタイムも短い。日本は代理店があるし(流通の)構造が異なるので(どちらが良いか悪いか)一概に言えませんが、意思決定は本当に速い。ITを使い速やかに決定を下している。余談ですが、デサントコリアの会議室の椅子が全部なくなってしまいました。すぐに結論を出して解散するようにするためです。またスタッフには、自分たちでものづくりのできるブランドに力を入れていきたいという気持ちが強い。ゆえにライセンスブランドよりも自社ブランドの方が成長は速い」

ほかのアジア地域でも、デサントコリアのようなスピード感と現地企画商品で市場を開拓しようとし始めた。