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主要外資系スポーツメーカーの業績展望 Vol.2「Adidas Group 」
売上高3兆円規模が現実味を帯びる

update: 2020/01/28

adidas Group, 2018年度・2015年度 財務数値一覧(表1)

adidas Group, 2018年度・2015年度
財務数値一覧(表1)

外資系スポーツメーカーの本決算ラッシュを控え、主要各社の業績を展望する。第2回目は「Adidas Group」アディダス社を取り上げる。ナイキ社に次ぎ、世界で売上規模が第2位のアディダス社。過去3年間は順調な推移で、着実に業容を拡大してきた。2019年度も第3四半期まで堅調な推移である。

アジア、北米が順調に成長

アディダス社の業績比較には、2018年12月期および2015年12月期の数値を使用した。売上規模は、2015年度が169億1,500万ユーロ(約2兆1,143億7,500万円、1ユーロ=125円で換算)だったのに対し、2018年度は219億1,500万ユーロ(約2兆7,393億7,500万円、1ユーロ=125円で換算)と順調に増収した。3兆円の達成が現実味を帯びてきた。

adidas Group, 2018年度・2015年度 地域別・セグメント別売上高(表2)

adidas Group, 2018年度・2015年度
地域別・セグメント別売上高(表2)

利益面では、2015年度の営業利益が10億5,900万ユーロ(約1,323億7,500万円)、税引前利益は10億3,900万ユーロ(約1,298億7,500万円)。2018年度の営業利益は23億6,800万ユーロ(約2,960億円)、税引前利益は、23億7,800万ユーロ(約2,972億5,000万円)。3年間で倍増している。販管費率が低下したこともあるが、売上総利益率(粗利率)が48.3%から51.8%と3.5ポイント改善した後押しもある。

地域別の売上高は、セグメントが多少変更されていることもあり単純比較はできないが、「欧州」が主要なマーケットだ。「中華圏」を含む「アジア・太平洋」が2ケタ増で、2018年度では売上規模が最も大きくなった。「North America」(北米)も過去3年間で成長著しい。2015年度に27億5,300万ユーロ(約3,441億2,500万円)だった売上高が、2018年度には46億8,900万ユーロ(約5,861億2,500万円)へ大きく成長した(表2を参照)。

adidas Group、2019年12月期 第3四半期 財務数値一覧(表3)

adidas Group、2019年12月期 第3四半期
財務数値一覧(表3)

2019年度(2019年12月期)の第3四半期までの業績は、増収増益で堅調な推移だ。通期では、売上高が約233億8,900万ユーロ(約2兆9,173億7,500万円)前後になる見通し。着実に業容が拡大している。

財務面も安定している。効率性指標の商品回転率はナイキ社に比べ、1ポイントほど低いものの、粗利率はナイキの44.7%と比較して50%を越えている。売上規模は水をあけられているが、収益性には見劣りがない。