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合繊素材主要メーカー 2016年春夏シーズン展まとめ(上)
進むブランディング強化の動き

update: 2015/01/20

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東レの「エントラント®」

東レの「エントラント®」

主にスポーツシーンで活用される機能素材を扱う主要な合成繊維メーカーの2016年春夏シーズン展示会。必須の基本機能である吸汗速乾をベースに、清涼感、軽量性、汗じみ防止、通気性といった各種機能で、自社の個性を出そうとする模索が続く。他社との差別化、住み分けを意識して独自路線を歩む事例が多い中、共通した傾向もいくつが見受けられた。主要各社の16年春夏展示会の傾向をまとめた。

機能性と連動するネーミング

16年春夏展示会において、よく見掛けた傾向が①機能性素材のブランド化(ブランディング強化)、②機能性の種類を分類、体系化して具体的に分かりやすく提案する手法だ。もちろん、展示会で重要な要素を占める「新開発素材の提案」や、「定番素材の改良版」なども各社共通した取り組みである。

帝人フロンティアの「デルタピーク®」

帝人フロンティアの「デルタピーク®」

①は「ゴアテックス」に代表される“素材ブランド”としての確立を目指す取り組みだ。海外拡販を念頭に置いていると考えられる。海外アウトドアブランドへ向けた東レの「エントラント®」ブランドの提案や、帝人フロンティアの機能素材「デルタピーク®」などがその一例だろう。三井物産テクノプロダクツ(今回の展示会では特定のシーズンを謳わず)も「パーテックス」および「プリマロフト®」を世界規模で素材ブランドとして浸透させようと力を入れている。

「エントラント®」は販売開始から35周年を迎えるロングセラー素材。軽量化を図った2.5層の生地は欧米のアウトドア関連ブランドの支持を集めてきた。ブランド名も浸透し、北米の主力アウトドアブランドとの取引も拡大しているという。「デルタピーク®」はデサントの「ルコックスポルティフ」ブランド全体で重点素材として採用された。複数の機能素材を使い分けるケースの多いスポーツブランドだが、1つのブランドで戦略素材を決めるやり方は外資系ブランドに通じるものがある。「パーテックス」は国外ブランドを買収した経緯がある。現在でも海外で一定の知名度を得ている。