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アシックスのマーケティング戦略
「スポーツで心と体を健康にする」というメッセージを重視

update: 2021/06/14

マーケティング施策では「スポーツで心と体を健康にする」 というメッセージを重視 (画像はリリース資料より抜粋)

マーケティング施策では「スポーツで心と体を健康にする」
というメッセージを重視
(画像はリリース資料より抜粋)

アシックスが過日開催したインベストメントデイ。中期の経営方針や今シーズンに重点強化していく新製品の内容が主だったが、マーケティング戦略も併せて公表されている。ノウハウに関わる部分もあるため、あまり公にされることは少ない分野だが、同業他社との比較数値を示して、具体的な取り組みについて述べている。公表された資料を基に、そのポイントをまとめた。

“スピードランナー”層の開拓を強化

インベストメントデイ当日、マーケティング戦略を説明したのは、長年ナイキに在籍していた甲田知子氏。同業他社との比較した場合、「“人に寄り添う”ブランドとしてのルーツに忠実であること」が差別化につながると分析している。競合ブランドでは、勝利至上主義のポジションであるのに対し、「アシックス」は創業者・鬼塚喜八郎が取り組んだ「心身ともに健康な若者を育てるため」のスポーツシューズ作り。「心の健康をもたらす・寄り添う・社会に貢献する」という3つの項目では抜きんでているブランドないため、「アシックス」ブランドが取るべきポジショニングだと判断した。

ランナーに対する調査によると、同社が強みにするランニングは「心と体」の健康のために取り組んでいるという回答が全体のおよそ4分の1を占めた。前述のブランドのポジショニングと親和性が高い。「スポーツで心と体を健康にする」というメッセージが、同社の理念を前面に出して顧客とつながることができる方法だと考えた。

これを踏まえた上で取り組むマーケティング戦略は「ブランドの構築」と「顧客エンゲージメント(愛着、思い入れ)」に大別される。①今年1月から採用している“Sound Mind, Sound Body”というブランドの“タグライン”の認知を上げ、意味を理解してもらう事、②イノベーションでリードする事、③開拓が十分でないターゲット層──女性と若者を取り込む事、④サステナビリティーブランドとして認知される事、の4つが「ブランド戦略」の柱だ。

マス市場などでシェアを高めていくために、一番影響力が強いと言われる“スピードランナー”層の開拓を強化する。世界の主要な地域でシェアを高めることで、女性などのフィットネスランナー(1カ月に1-3回程度ランニングするカジュアルランナー)層の取り込みを狙う。