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開発担当者に聞く──
ミズノ、“アクティベーション技術”に着目した
新コンセプトのトレーニングシューズ

update: 2019/06/25

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足裏の感度を高める「ミズノ コブ」

足裏の感度を高めるミッドソール「MIZUNO COB」(中央部分)

足裏の感度を高めるミッドソール「MIZUNO COB」(中央部分)

足裏の感度を高め、バランスを意識しやすくするためのソールとして開発したのが「MIZUNO COB」(ミズノ コブ)だ。ミッドソールに配置した「ミズノ コブ」は、表面に多くの突起を施している点が特徴。一方、アウトソールには細かい“切れ込み”が入っており、「ミズノ コブ」の各突起=“こぶ”の位置と同じレイアウトに設計している。アウトソールからの刺激がより正確にミッドソールへ伝達され、さらに足裏に伝わるという構造だ。

「ミズノ コブ」(特許出願済み)は表面に200以上(「TC-01」モデルの場合)の突起を設けたミッドソール。「センター・オブ・バランス」の頭文字を採って、「COB」と名付けた。日本語の“こぶ”も意識したそうだ。

エビデンス、科学的な裏付けを得るため、生体力学の権威である「バイオメカニグ スポーツ&ヘルスリサーチ」において、検証実験を行った。40人の被験者を20人ずつ、2つのグループに分け、「ミズノ コブ」を搭載したシューズと、搭載していないシューズを履いて6週間、トレーニングを行った。その結果、「足裏感度が向上した」という統計的な裏付けが得られた。「バランス能力の向上」「反応速度の向上」という点では、エビデンスは得られなかったが、良くなる傾向は見られたという。「バイオメカニグ スポーツ&ヘルスリサーチ」からは、「人の神経反応に挑戦しているシューズ」だという点で評価を得たようだ。

グローバルで展開、基幹機能の1つに

「ミズノ コブ」はバランス感覚を高める機能性があるため、アスリートのほかに、転倒防止を目的とした高齢者向けのウオーキングシューズなどへの採用も期待される。ランニングシューズなどに搭載されている定番機能「ミズノ ウエーブ」のように、将来的には基幹機能の1つとして幅広いシューズへ採用する構想もある。

当面は、「パフォーマンスのレベルが高い人からアプローチしたい」(同社グローバルフットウエアプロダクト本部企画部ランニング・トレーニング企画課、鷲見将成 アシスタントマネジャー)と考えている。対象種目は全方位で、将来的には一般ユーザー層へも拡販を計画している。

今回、販売するのは「TC-01」と「TC-02」。「01」はアッパーにニット素材を使用し、履き心地を向上させた。「02」モデルはソールの構造は同じで、アッパーはメッシュ素材。対象がアスリートという点は同じだが、高校生などの競技者層を意識して、より買いやすい価格設定にした。「TC-01」は1万4,000円、「TC-02」が1万円(本体価格)。

展開は7月からで、海外市場でも販売する予定。当面はECサイトによる販売がメーンになるようだ。機能性の説明が必要なため、スポーツ専門店や外商ビジネスに適していると考えられる。また、効果が得られるまでに時間がかかるため、機能性を実感したアスリートのコメントが重要になってくるだろう。