東レ
スポーツ・衣料資材事業部　部長
佐々木　幸雄（ささき・ゆきお） 氏

アピールポイントは高機能素材を提案し続けること

update: 2015/06/08

──市況と2014年度について。

2014年度は微増収で、昨年並みの利益でした。国内は厳しい状況が続いており、特にアスレチック（競技）分野向けが苦戦しました。ここは高付加価値化を図る余地があると思います。急速な円安は影響しましたが、日本ならではの素材を提案し、主要な取引先との取り組みを強めてきました。

海外は、14年度も円安基調の中、米国を中心に堅調。欧州は経済危機を抜けましたが、2年連続の暖冬で秋冬商材の市場在庫が過剰気味です。特にウインター関連が多く残っている。韓国市場は伸びが鈍化してきました。

──2015年度の見通し、取り組みは。

昨年度と同様に、ランニングやトレイルランニング、スポーツライフスタイル系は良いと思うので、今期もこれらの分野に取り組んでいきたいと思います。ライフスタイル分野はランニングやテニス、ヨガなどです。特にレディスのランニングやヨガ需要が増えている。（東京ガールズコレクションに出場したモデルによるランニングチーム）「東京ガールズラン」のスポンサーも継続しています。

輸出ビジネスは、円安なので米・欧を中心にアウトドアを主体に引き続き強化します。また、グループ会社の東レインターナショナルとの連携で、素材から縫製までの一貫型ビジネスも引き続き強化します。「hitoe」（ヒトエ）に象徴される“ウエアラブル”ウエアにも力を入れる。ゴールドウインの「C3fit」と協業した「C3fit　IN-pulse」シリーズは、競技志向者層を中心に人気を集めています。また、グリーンイノベーション製品と呼んでいる環境配慮型ウエアも、海外を中心に意識が高まっているので、何とか広めていきたい。

──2016年秋冬へ向けた一押し素材を教えてください。

16年秋冬展示会は好評でした。高機能品に評価が集まりました。一押し素材だった「ダーミザックス®3D」や「カルイシ®」に関心が集まった。アウターやミドラーなどアイテムに幅を出した提案は好評でした。

──スポーツ以外の新規分野の可能性について。

カジュアル系のアパレルや、メンズの“ビジカジ”（ビジネスカジュアル）で広がりを見せています。「ドットエア™」のジャケットや「フィールフィット®」のジャケット（AOKIとの協業）など、今までなかった軽快でカジュアルな風合いのアイテムが年々、伸びています。「クールビズ」の影響もあると思いますが、エンドユーザーの合繊に対する抵抗が薄れてきているのかも知れません。

──アピールポイントは？

今後も、高機能素材を提案し続けることです。そして、素材から縫製一貫型の提案を強化することです。

イチオシ素材