グンゼスポーツの試み
都市部立地のフィットネスクラブ「GUNZE SPORTS CLUB Kyoto 烏丸六角」
update: 2012/03/19
グンゼスポーツが4月1日、京都・烏丸にフィットネスクラブ「GUNZE SPORTS CLUB Kyoto 烏丸六角」をオープンする。既存のビルの8-10階の3フロアに居抜きで展開する。1フロア当たり約150坪、計450坪と小振りな規模で、都市部立地でのフィットネスクラブの運営ノウハウ確立を目指す。
新しいノウハウ確立の試金石に
「GUNZE SPORTS CLUB Kyoto 烏丸六角」は京都市内の烏丸通りと六角通りの交差点角に位置する。最寄りの阪急電鉄・烏丸駅まで徒歩数分とアクセスがいい。市内の繁華街、四条烏丸界隈には10分足らずで行くことができる。
「烏丸六角」は同社の既存施設より約半分ほどの450坪。しかも既存ビルの3フロアを使った構造で、運営には高効率が求められる。都市型フィットネスクラブとして主にF1層(20-34歳の女性)の取り込みを狙っている。会員数はオープン時の目標1500人に対し、12日時点で900人に達した。その70%ほどが女性で地元住民が多いそうだが、徐々に昼間働いているOL層も増えてきた。
想定する利用客像は今までフィットネスクラブに縁のなかった初心者層。提供するプログラムもハードな運動量が多過ぎないライトな内容のものを用意した。また料金体系も「レギュラー会員」(月会費8505円)に加え、基本料を低く設定し1回利用ごとに500円を払う「エコ会員」(同4410円)などを新たに設定した。会費は「廉価な設定にこだわっている」(佐藤雅之社長)。平均はレギュラー会員で月1万円ほどかかるらしいが、8000円を切るケースは珍しいそうだ。入会後の会員のコース切り替えも可能で、より気軽に利用してもらえるよう、入会の間口を広く、ハードルを低くしている。
今後は大阪や東京の山手沿線などにも出店を検討中。「烏丸六角」の施設で、コンパクトな都市部立地のフィットネスクラブの運営ノウハウを確立しようとしている。「広義の新業態開発」(佐藤社長)に位置付けている。
日本初のマシン「Kinesis」を導入
「烏丸六角」は9階の受付、更衣室、イベントスペースを8階のスタジオ、10階のプールで挟む形のフロア構成。9階の受付からは吹き抜けで8階のジムエリアを見下ろすことができる。8階のジムからは京都市内が一望できるほか、毎年8月のお盆の送り火で有名な「大文字」山も見ることができる。
最大の特徴は、8階で展開する日本初導入の「Kinesis Station」(キネシスステーション)。イタリアのフィットネス機器メーカー、テクノジム社製の最新フィットネスマシン「キネシス」をトータルに揃えた。「人間本来の自然な動き」をコンセプトにした機器で、医学や人間工学に基づいて設計されている。1つのマシンで複数のトレーニングができる。5機種6台を導入。すべての機種で共通したエクササイズが可能なため、順番待ちを少なくすることができる。そのほか、ネットとつながりテレビも視聴できるトレッドミル(ランニングマシン)も16台導入した。
中に水が入っているトレーニング用のボールなどを製作する「Arke」(アルケ)というブランドも揃えた。身体のバランスを整える「コンディショニングギア」で、フィットネス初心者向けの用具だ。また、「GOLFZON」(ゴルフゾン)というシミュレーションゴルフ機器も導入。立体映像でゴルフコースのプレーを疑似体験できるマシンで、世界147のゴルフコースのデータが収められている。ネットにつながっており、改修されたコースを常時更新することができる。1台のみのため、予約制を採る。法人向けの需要も視野に入れており、コミュニケーションスペースとしても活用する予定だ。
コミュニケーションの場「オアシスゾーン」
新しい試みは8階スタジオ中央に設けた「オアシスゾーン」。エクササイズの途中でひと休みできる休憩スペースである。このゾーンは直接、売り上げにつながらない非効率なスペースだが、「既存のフィットネスクラブにはない付加価値を提供する目的」(佐藤社長)で設けられた。
興味深い試みの1つが、床を全面「白」にしたこと。汚れが目立ちやすく維持・管理が大変だが、スタッフの緊張感を保つ目的もあり敢えて挑戦するという。
オープン後に9階受付横のスペースにおいて、会員を対象にしたカスタマイズでコンプレッションインナーの受注会を開く予定。また、スポーツメーカー各社とのコラボレーションも検討しているという。
新しい都市型フィットネスクラブを開発するための試行錯誤がまもなく始まる。