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デサント、2021年3月期 連結決算
コロナ禍が響き減収、損失を計上

update: 2021/05/18

堅調な推移が続く「デサント」ブランド

堅調な推移が続く「デサント」ブランド

デサントの2021年3月期連結決算は、コロナ禍が響き減収だった。徐々に回復基調となったが、落ち込みをカバーできず損失を計上するに至った。China(中国)市場の「デサント」ブランドが好調を維持している。

新中計を策定、数値目標は未開示

デサント、2021年3月期 財務数値一覧(表1)

デサント、2021年3月期
財務数値一覧(表1)

連結の売上高は968億6,200万円(22.2%減)と2ケタの減収。売上総利益率(粗利率)が52.7%(1.9ポイント減)と減少したほか、削減が進んだものの販管費の比率が相対的に増えたこともあり、営業損失18億600万円(前期は営業利益3億7,900万円)を計上するに至った(表1を参照)。

経常損失は5億8,400万円(前期は経常利益4億5,600万円)。当期純損益は、持分法適用関連会社、Descente China Holding Limited(DCH)の再編による特別利益、約64億円の計上もあり、当期純利益50億3,900万円(前期は当期損失24億8,100万円)となった。

デサント、2021年3月期 部門別・ブランド別売上高(表2)

デサント、2021年3月期
部門別・ブランド別売上高(表2)


地域別の売上高は、「日本」が99億円の減収、「韓国」が133億円の減収と苦戦した。「中国」(香港・台湾含む)は7億円の減収で下げ幅が小さかった。「日本」では「デサントゴルフ」が30%増と健闘した。第4四半期(1-3月)では、「デサント」「ルコックスポルティフ」が前年同期比を上回った。

ブランド別売上高では、コロナ禍により全ブランドが減収に至った。Anta社との合弁会社で運営する「デサント」ブランドは好調を持続している。現地の売上高は223億円(58.2%増)よ順調に成長を続けている。

決算の開示に合わせ、新しい中期経営計画「D-Summit2023」も公表している。社内では想定している数値目標はあるが、韓国の不買運動やコロナ禍の影響など不確定要素があるため、現時点での中期の売上計画は未公開だ。引き続き、日本・韓国・中国の3本柱で収益を効率的に確保していく基本姿勢に変わりはない。

新中計では、日本においてDTC(Direct to consumer)事業をさらに強化する。収益性を重視した経営指標を明確にし、新しい人事制度も導入する計画だ。強みである商品開発力を継続して強化する。

通期の業績見通しは、連結売上高1,030億円(6.3%増)、営業利益31億円、経常利益43億円、当期純利益30億円(40.5%減)。黒字回復を目指す。