新設された祝日「山の日」
アウトドア各社にも期待感
update: 2016/08/10
今年から新たに制定された祝日「山の日」が8月11日に実施される。公益社団法人 日本山岳協会など関連5団体の働き掛けで、行政が新しく制定した祝日である。平たく言えば、登山にいそしむユーザーを喚起しようというのがその趣旨である。民間のシンクタンクでは、経済効果が数千億円とも言われている。アウトドア関連メーカーの期待度はどうか、近況をまとめた。
市場の活性化を期待するも、大規模な取り組みは少数派
元来、市場のニーズというものは、現場から自然発生的に湧き起るもので、行政の後押しによる“官制”イベントは概して失敗する確率が高い。最近では、「クールビズ」という例外もあるが、民間のアウトドア関連企業では、こうした流れを歓迎しつつも、冷静に状況を見極めている傾向が強いようだ。
アウトドア市場の主力ブランドの1つ、ゴールドウインの「ザ・ノース・フェイス」では、山と渓谷社主催の「ヤマケイ涸沢フェスティバル」に協賛し、エンドユーザーへの発信に力を入れるという。また、「全国山の日協議会」の会員にも名を連ねている。
「山の日」に向けた商品企画はないそうだ。しかし、新しい祝日に制定されたことで、「これをきっかけに、登山、トレッキング、ハイキングなど、山にまつわる活動がさらに活性化することを期待している」(広報担当者)という。
アメア スポーツ ジャパンの「サロモン」では、「山の日」に合わせてキャンペーンを実施する。限定のオリジナルステッカーを直営店で配布し、「山の日」の認知度喚起を行う。また、SNSの1つ「インスタグラム」を活用し、エンドユーザーがアウトドアで楽しむ画像を投稿してもらうキャンペーンも実施する。ベストフォト(投稿)に選ばれた人にはバックパックなどの景品を用意している。
デサントの「マーモット」では、「山の日」に向けた商品企画はないという。「山の日」に合わせて、店頭で“缶バッジ”をプレゼントするキャンペーンを実施している。同社のアウトドア関連ブランドでは、トレランを主体にする「イノヴェイト」がある。しかし特別なイベントの予定はないという。
概して、祝日の制定は歓迎だが、その経済効果については、かなり冷静な態度だと思われる。1年目ですぐに効果が表れる類のものではないので、数年掛けて、定着していくものだと思われる。