ミズノ、野球関連ビジネス 2023年シーズン──110%の推移
update: 2023/12/15
ミズノの野球関連ビジネスの2023年シーズンは、前年対比で約110%の推移と健闘した。WBC(野球W杯)やウエア契約を結んでいる阪神タイガースの日本一効果も後押ししたようだ。用品では、売れ行きに多少でこぼこはあったが、硬式を中心に手堅い動きだった。競技者層向けの用具は105%と堅調だった。
軟式バット「ビヨンドマックス」が健闘
コロナ禍や少子化など、競技系スポーツを取り巻く環境は厳しい状態が続いていたが、今シーズンは現場の正常化が進んだ。コロナ禍明けの反動もあり、購買意欲が一時的に盛り上がった傾向があった。同社の野球関連ビジネスは、12月中旬時点で前年同期比約110%の推移。コロナ禍前の2019年シーズンと比較すると120%で、着実に底上げが図れている。
用具は全体的にまんべんなく堅調に推移したようだ。商品の投入時期が前期と異なるなどの要因でスパイクは前年比を下回ったが、バットやグラブ、アパレルなどは堅調だった。バットでは、軟式向けの「ビヨンドマックス」が健闘した。硬式グラブは前年並み、軟式が減少した。
来シーズンはグラブでは新たに「ミズノプロ クラシック」を市場投入する。ハイエンドモデル「ミズノプロ」から派生した新ラインで、使用する革の伸びる方向を最優先した機能性重視の商品コンセプトだ。従来は使用しなかった部分の革もグラブに使っているため、所々にキズがある。しかし効率的に革が使えるため、端材などの無駄を減らすことができる。スパイクでは、クッション性の高い新モデルを投入予定。プレーヤーのニーズの変化に対応する。
慢性化している原材料のコスト増の影響もある。上代への転嫁も充分に進んでおらず、本丸の用具以外の分野でも顧客を取り込んでいく必要性が高まっている。少子化もあり、今後は競技人口が確実に減少していくと予測している。
今後はチーム需要を強化
強化ポイントの1つは、チームビジネスだ。個々人のプレーヤーはチームに所属しているので、効率のいい市場開拓の方法として「今後はチームビジネスを強化したい」(ダイアモンドスポーツ事業部 ワークビジネス事業部、斎藤真一 執行役員)と考えている。
そのほか、“ファンビジネス”も強化策の1つ。現在、日本のプロ野球チーム6球団とウエア契約を交わしている。また、グループ化したシャープ産業との連携も重点施策だ。「ミズノ」ブランドは本体が展開し、チーム需要で名前を入れる商材はシャープ産業が担当するなど、互いの相乗効果を高めようと取り組んでいる。グループ化した後、「ここ4-5年をかけて順調に育ってきている」(斎藤 執行役員)ようで、手ごたえを感じている。
来シーズン、2024年は103-105%の見通しを立てている。WBCやタイガース優勝などの“特需”がなくなる影響を考慮した。主力の用具を軸にチーム需要を取り込み、ファンビジネスなど関連分野の開拓も同時に強化する。