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2020年の区切りへ向けて──
出揃ったスポーツ主要各社の中期計画を俯瞰する(中)

update: 2016/05/26

デサント、 新中計の数値目標

デサント、
新中計の数値目標

主要上場スポーツ企業において、5カ年の中期計画が多く見受けられる傾向がある。国内トップの売上規模になったアシックスをはじめ、過半数の企業が2020年を最終年度とした中計を策定している。

デサントは好調なアジアを成長エンジンに据える

前回のレポートにある通り、アシックスは2020年に連結売上高で7,500億円以上の業容まで拡大する中期計画を立てた。尾山基社長のコメントからもうかがえるように、目線はすでに国内にはなく、ナイキやアディダス、アンダーアーマーといった世界規模で売り上げを伸ばす外資系スポーツメーカーに関心が移っている。国内における施策もグローバルのそれと連動したものになってきている。世界で共通したブランド観を発信・提供する狙いがあることは明らかだ。

こうしたグローバル市場を意識した施策は、海外市場の開拓が進んでいるスポーツメーカーに共通して見られる傾向だ。今回、主として取り上げるデサントもそのうちの1社である。

デサントは、デサントコリアを中心にアジアビジネスがここ数年の成長エンジンになっている。終了した前期(2016年3月期)の業績でも、連結売上高1,357億円の内、アジアビジネスが占める比率は780億円、約57%と過半数を占めるまでに拡大した。デサントコリアのみを抜き出すと、売上高693億円と主力セグメントになっている。

アシックスなど他社の例と同じく、デサントは5カ年の中期計画を新たに策定した。「VISION 2020」と銘打った新中計では、2020年に売上高2,000億円、経常利益160億円という明確な数値目標を掲げている。

この「VISION 2020」で最も注目すべき点は、途中の3年目──2019年3月期における具体的な数値目標を設定していることだろう。2019年3月期の収益目標は、売上高が1,700億円、経常利益が140億円、当期純利益が100億円、ROEが10%以上である。社内外に向けた、数値目標としてとても明確で分かりやすい中計だという観がある。

さらに、ブランドにおける目標としては、アジアナンバーワンのスポーツブランドになるという、こちらも明確な到達数値がある。ステークホルダーにはもちろんのこと、社内向けにも適切な目標設定と言えるだろう。(続く)