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デサントの新中期経営計画──再び目指す成長路線(上)
日本、中国、韓国の3地域に資源を集中

update: 2019/09/02

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中計説明会に臨む デサントの小関秀一 代表取締役社長

中計説明会に臨む
デサントの小関秀一 代表取締役社長

デサントが8月29日、大阪市内で新しい中期経営計画「D‐Summit 2021」のメディア向け説明会を開催した。「デサント」ブランドを中心に増収を図り、日本・中国・韓国の3地域に経営資源を集中することが主な方針だ。中でも伸び代が期待できる中国の収益を拡大し、3年後の2021年度(2022年3月期)には、上代ベースで約3,000億円(2018年度対比で約36%増)の連結売上高(決算ベースでは約2,500億円)を目指す。

「デサント」ブランドを軸に増収目指す

今年3月25日に開催された取締役会で、石本雅敏社長(当時)が退任し、伊藤忠商事出身の小関秀一(こせき・しゅういち)氏が新社長に就任する人事異動が決議された。6月20日の株主総会を経て、正式に新経営陣の下で新しいスタートを切った。創業家の石本氏をはじめ、旧経営陣の大部分が去った同社。実質的に、大株主の伊藤忠商事の意思を反映した経営陣に刷新された。

経営方針について、意見が食い違っていた伊藤忠とデサントの旧経営陣。新しい中計の焦点は、新しい経営陣がどういった方向性を示すのかという点にあった。新社長・小関氏のお披露目の場ともなった説明会。新中計の肝は、「デサント」ブランドを軸に増収を図り、日本・中国・韓国の3地域に経営資源を集中するというものだった。

中期の具体的な数値目標は、社長就任間もないこと、また足元でやるべきことが多いこと、収益の大きな柱になっている韓国市場が政治面の影響で先行きが不透明なことなどを理由に、開示していない。「胸の内には具体的な目標数値はある」(小関社長)が、通期の業績見通しを達成することを最優先し、当面は収益性が高まるよう国内外の組織体制の改善に力を注ぐ。

重点的に強化するのは、ブランドでは「デサント」、地域ではChina(中国)だ。中国企業のアンタ社(ANTA Sports Products Limited)とジョイントベンチャーを設立している「デサント」ブランドだが、過去3年間で現地の売上高が100億円規模に達した。小関社長は、かつてアンタ社が「フィラ」ブランドを10年で売上高1,800億円、営業利益300億円にまで成長させた例を挙げ、「『デサント』ブランドも同じように成長できると思う中国が当社の成長戦略の肝だと考えている」と語った。