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『マーケット分析』
転換期に差し掛かった百貨店――スポーツ編

update: 2011/03/28

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百貨店が斜陽産業と言われるようになって久しい。確かに高コストの運営構造が影響して、入店しているテナントにとっては利益を確保しにくい業態だが、比較的高い上代設定の商品を安定して継続的に購入してくれる顧客層を持っているという点は間違いなく魅力である。百貨店スポーツ売り場もその例外ではない。

プレーとカジュアルを両立。大丸梅田店ゴルフウエア売り場

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百貨店はその運営手法ゆえに経費がかかるため、商品の回転も高効率が求められる。商品投入が早く、すぐに売れていくレディスブランドのようなテナントが理想である。伊勢丹や阪急百貨店のような一部の都市型店舗では、月坪100万円を優に超える効率をたたき出す“超”優良テナントも珍しくない。しかし通常はこれほどうまく行くことはまれだ。一方、郊外型ショッピングセンター(SC)の運営経費は一般的に百貨店のおよそ2分の1。単純な計算だが同じコストで、百貨店で10坪の売り場面積のところ、SCでは20坪と倍の規模で出店することができる。ただし客層がかなり異なるため、百貨店向け商材をそのまま持っていってもすぐに売れるものではないところが難しい。販売員の人件費も支払わなくてはならないので、商品の平均上代と運営コストと売り上げとこれらのバランスがとても大事になってくる。

販売員という点では量販店が効率的だ。基本的に量販店は、来店客が自ら買う商品を選ぶ「セルフ販売」なので原則、販売員は必要ない。あまり説明のいらない=接客の必要がない商品――実用衣料が主な商材ゆえに可能な手法だ。コーディネートが必要なファッションウエアや、機能性を伴った付加価値商材などは販売員が必要になる。