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『マーケット分析』
「ゴルフウエア市場 vol.3」 商品企画の“次”を模索する

update: 2011/04/18

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機能性装備は当たり前になった

「ダンスウィズドラゴン」11年冬、ストレッチダウン

「ダンスウィズドラゴン」11年冬、ストレッチダウン

「ダンスウィズドラゴン」11年冬、ストレッチダウン

したがって、前段で述べた推移の通り、現在のゴルフウエアでは、機能性は標準装備になっている。それどころか機能性素材を他ブランドとの差別化に活用しようという企画まで現れた。スポーツ系ブランドの場合は、発熱・蓄熱・保温・防風・接触冷感・紫外線カット・吸汗速乾・吸放湿・日光遮断・ストレッチ性やノイズレスなど、ゴルフのプレー時に活躍する機能性提案が多い。アパレル系ブランドの場合は機能素材の風合い(多くの場合、合成繊維。表と裏で手触りや光沢感の異なる素材もある)を生かした使い方をよく見掛ける。素材メーカーが表地として提案している素材を裏側に使うなどといった例だ。こういったデザイナーの“遊び”はそれほど珍しくない。メンズブランドでも見られることだ。

11年秋冬で印象的だったのが、ワールドの「アダバット」。英国の生地ブランド「PERTEX®」(パーテックス)を主力商材に採用した。組成はポリエステルとナイロンで、すでに他社のアウトドアブランドでの採用実績がある。生地は非常に薄くて軽量だが、撥水・防風機能を持つ。この生地をアウターのダウンジャケットの表地や、リバーシブルスカートの表地に使った。機能性もそうだが、その風合いが気に入ったらしい。冬のシーズンの柱の1つとして位置付ける。ちなみに裏地には、20デニールのリップストップ(裂け止め)生地を使用した。この表と裏の生地が、冬場の機能素材の柱だ。

同ブランドの「シック」ライン(スポーティーカジュアルを意識した商品群)のテーマが「ゴルフィニスト」(ゴルファーとアルピニストの造語)。「アウトドアシーンの機能性をゴルフシーンに活かす」という発想らしい。「PERTEX®」の採用もこのテーマに基づいている。冬の主力アイテムの1つダウンジャケット、ベストには800FP(フィルパワー)のグースダウンを使用した。800FPといえば、アウトドアブランドのダウンでも高機能の部類に入る(大体600-700FPが標準)。そのほか、ミドラーには「ウインドストッパー」(ゴアテックス)を初採用。アウターとしても着られるスタイルを提案した。

こういった「アダバット」の商品企画を見ると、アウトドアブランドに偏っているのではないかという印象を抱く。しかしブランドの強みは「着こなしの幅」と認識しており、タウン寄りのインポート生地を使ったシャツなどもある。あくまでも、機能性とファッション性を兼ね備えたゴルフウエアという位置付けは変わらないそうだ。

「ダンスウィズドラゴン」では、昨シーズンに引き続き、ストレッチダウンを企画した。昨年、完売状態だった商材である。表地には光沢のあるプリントをほどこし、ブランドの個性を表現した。