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『マーケット分析』
「ゴルフウエア市場 vol.2」 顧客獲得の“次”を模索する

update: 2011/04/11

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ミズノの試み

ミズノゴルフスタジオ ハービスPLAZA ENT

ミズノゴルフスタジオ ハービスPLAZA ENT

ミズノゴルフスタジオ ハービスPLAZA ENT

昨年11月29日、複合商業施設「ハービスPLAZA ENT(エント)」(大阪市北区梅田)4階にミズノが「ミズノゴルフスタジオ ハービスPLAZA ENT」を開設した。女性客を意識したゴルフスクールで、「エント」を訪れるミセス層が主な対象だ。「エント」はファッションを中心にいわゆるラグジュアリーブランドを集めた商業施設。従って、訪れる顧客の客単価も高い。“いいお客さん”の多い施設である。開業後およそ4カ月間の推移では、女性客が過半数を占めた。女性の中で最も多いのが30代。女性客の75%が30-40代、50代の年齢層だという。

電車でひと駅の距離にある淀屋橋にある直営店でもゴルフスクールを開講しているが、ビジネス街に立地していることもあり、OL・キャリアなど若い層の女性が多い。平日の昼間と週末に年配層が訪れるという点は共通している。14人を定員とするインストラクターによるレッスンプログラムを設けていることもあり、比較的初心者が多い。一方、「エント」店はインストラクターによるマンツーマン形式。ある程度ゴルフにたしなんでおり、個人のレベルを上げたいゴルファーが中心だ。1回のレッスン料は淀屋橋が3150円、「エント」が4200円。エントの方がやや高い分、個人指導やシミュレーションを使ったスイングチェックなど、そのレッスン内容が充実している。

「エント」店のもう1つの特徴は毎週金曜と日曜に実施するゴルフクラブのカスタムフィッティング。これはゴルフ専門店を中心にミズノが拡大を進めている差別化策で、各人のプレースタイルに適したクラブを調整して販売するサービスだ。パーソナル需要を強く意識している。小規模だが物販も行っており、手袋など小物類が売れている。

課題は認知度アップ。「エント」4階の奥まった場所にあるため、来場者には分かりづらいというデメリットがある。405m2のゆったりした店内に打席が8つ、ロッカーや更衣室も完備している。クラブ・シューズは無料で借りられる。昼下がり、ミセスの憩いの場所として、仕事帰りのOL:キャリアのリフレッシュの空間として、提案次第ではさらに顧客数を増やせる可能性を秘めている。淀屋橋店とも住み分けができているようだし、後はいかにスクールの存在をエンドユーザーに知ってもらうかだろう。

このミズノの試みはゴルフウエアの販促には直接、関連性はない。しかし、「エント」にはゴルフウエア、ゴルフ系ショップが数店、点在している。確率的にゴルファーが訪れる回数も多くなる。“事”から入って“物”へつなげていくという意味では、顧客網が広がっていく可能性を感じさせる。

スポーツ系の専門店でも、種目や競技の違いなく、物販と外商が主体であることに変わりはないが、スクールや競技会という“事”を絡めたところが健闘している。スポーツにいそしむユーザーが必要とすることを商材からサービスまでトータルにフォローしている店舗は顧客の心をしっかりとつかんでいるし、不況にも強い。

ちなみにミズノの11年秋冬のゴルフウエアはより分かりやすくなった。契約女子プロの意見を参考にして、プレーと女性の感覚をほどよく盛り込んでいる。例えば、飯島茜プロのモデルは本人が好きなピンクとブルーをキーカラーにしている。以前の「クリエイティブ」ラインなどではファッション性を意識し過ぎたきらいがあった。現在の顧客が若返ることのできる感度が、最もバランスが良さそうだ。一方、メンズは機能性重視のプレー志向モデルで、こちらは競技志向者層を中心に安定した人気がある。