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2020年シーズンのスポーツ市場を俯瞰する

update: 2020/01/06

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今年はいよいよオリンピックイヤーである。様々な媒体を通じて、トップアスリートの高度なパフォーマンスが世界に流されることは、間接的とは言え、スポーツ市場にもプラスの効果をもたらすことは間違いない。エンドユーザーのスポーツに対する関心が高まり、“市場が温まっている”タイミングで、どれだけの提案ができるか? スポーツ関連企業の腕が試されるシーズンになりそうだ。

地元開催、千載一遇のチャンス

東京オリンピック・パラリンピックは、通常のオリンピックというだけではなく、地元開催というプラス要因がある。昨年のラグビーワールドカップの事例を挙げるまでもなく――運営の仕方如何にも関わってくるが、短期間に幅広いエンドユーザーへスポーツをアピールできるという無限の可能性を秘めている。

過去、十数年の経緯を見ると、多くのマスメディアが注目する、いわゆるスポーツビジネスへの“オリンピック効果”はほとんど存在しない。敢えて挙げるのであれば、オリンピック関連団体と契約したメーカーのレプリカウエアなどが売れるくらいのものである。それも、リスクを伴うため、作り込む事例は少数だ。

スポーツ業界で常識的にみなされている“オリンピック効果”はむしろ、終了後に現れるケースが多い。日本代表選手が活躍した競技に関心を抱いたキッズ層が、スクールに通うようになる、などの事例だ。過去には、卓球やラグビーのスクール生が急増したことがある。

従って、オリンピックそのものに相乗効果を期待するのではなく、開催されることでエンドユーザーのスポーツに対する関心が高まる機運を活用するという考え方が、現実的だと思われる。“真”のオリンピック効果を数値化するには、少なくとも2-3年の継続した観察が必要であろう。