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『注目パーソン・インタビュー』
ワコール、執行役員ウエルネス事業部 松井恒夫事業部長

update: 2011/09/05

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メジャーリーガー、イチロー選手が愛用するなどトップアスリートからも支持を集めているワコールの機能アンダーウエア「CW-X」は今年、デビューから20周年を迎えた。「履くテーピング」として、主にスポーツ選手や競技志向者層の間に浸透していったが、最近はレジャーや日常生活のシーンでも着用されるケースが増えてきた。「CW-X」を企画・開発する同社ウエルネス事業部の執行役員松井恒夫ウエルネス事業部長は、スポーツ分野を越えた新しい顧客ニーズの開拓に手応えを感じている。ブランド節目の年を迎え、今後、成長路線の道筋をどのようにつけていくのか聞いた。

松井恒夫ウエルネス事業部長

松井恒夫ウエルネス事業部長

日常シーンにも浸透し始めた

3月の震災の影響で東日本の店舗は影響を受けたが西日本の店舗が健闘し、「CW-X」の11年春夏シーズン(1-7月)の前年対比は107-108%と堅調だった。

「東日本のスポーツチェーン店などは地震の被害を受けましたが、各店の復旧努力が素早く、大きな減収には至りませんでした。同時期に好調だったのは西日本地区で、ゼビオなどでは前年の3倍くらい売り上げが取れた店もありました。トータルで見れば(東日本の減収分を)ほとんどカバーできていた状況でした。その一方で、影響が出たのは都心の百貨店。通常だとピークを迎える午後6時以降の集客が減り、スポーツ売り場などは6月ごろまでその傾向が続きました。スポーツ用品より生活必需品が優先される傾向もあったと思います。ゼビオやアルペンなどスポーツチャネルでは震災の影響は軽微でしたが、大きかったのは百貨店だと思います」

過剰だった市場在庫の適正化を進めてきた「CW-X」。震災の影響を最小限で乗り越え、再び成長路線に乗り始めている。

「店頭在庫は適正化しました。総在庫量は新店舗が拡大しているため増えていますが、各店の在庫は増えていません。既存店ベースの売り上げでも100%は超えており、成長路線は継続できています」

ブランド創立から20周年を迎えたことを機に、スポーツ分野で増やしてきたファン層を一般ユーザーへも広げようとしている。

「今年4月、関西ローカルのTV局で『CW-X』を取り上げてもらったところ、大きな反響がありました。例年4-6月は売り上げが少なく、秋冬のランニングシーズンに需要が増えてくるのですが、例えば阪急百貨店イングス館のショップでは、放送当日だけで200万円の売り上げがありました。4月単月では1200万円を突破し好調に推移しました。ランニングや山登りのために購入したのではなく、『日常で履いて、機能が良いと聞いたので普段使いできるタイツ』だという理由で買い求める方が多く、新しい顧客が増えました。これはとても大きかったと思います」

これまで「CW-X」の着用シーンはスポーツ競技が中心だった。今後もこの基本姿勢は変わらないが、まだまだ未開拓の分野があるとみる。

「20周年を迎え、次の20年はどこへ向かうのかという観点では、スポーツだけでなくより広い分野に向けて広げていきたい。例えば日常生活の中でも、よく歩くと夕方には脚がむくんだり疲れたりする。そこで我々の商品をはいていれば疲れを次の日に残さない機能があるので、スポーツに限らずほかの用途にも着用することができる。そういったことがユーザーに少しずつ浸透している気がします。イチロー選手をサポートするなどして、今までは比較的高付加価値のイメージが付いていたと思いますが、今度はその付加価値をもう1度お客さんに返していく中で、日常などといったより広い分野の中で商品提案していければと思います」

「ブランド20周年に合わせ、記念限定モデルを出しました。第1弾が3月、第2弾が6月、そして第3弾が9月の発売です。第3弾はイチロー選手とコラボしたモデルです。イチロー選手がデザイン監修した『レボリューションモデル』と、『プロモデル』のショートタイプをセットにしました。上代価格は2万6200円(税抜き)。イチロー選手の年間最多安打262本にちなんで設定しました。1000本限定でシリアルナンバー入りです。『51』番目はイチロー選手にお渡しする予定です」

顧客へ還元を図る話題作りのためのプロモーションの要素が強いという。近々、第4弾も計画されている。