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『注目パーソン・インタビュー』
デサント、田中嘉一・取締役マーケティング部門長

update: 2011/06/20

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主力ブランド「マンシングウェア」をリブランディング

マンシングウェア OneThing

マンシングウェア OneThing

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昨年、大きくかじを切ったブランドの中で、重要度が高いものの1つが「マンシングウェア」だろう。100億円規模のこのブランドはその大きさゆえに大胆な改革が難しい面があった。また顧客の高齢化が進み、ゴルフブームで若い客層が増えていたものの、そういった新規客にはマーチャンダイジング(MD)が合わなかった。

こうした現状を打開するべく、まず実行されたのがメンズパンツの全面刷新。10年春夏から、ツータックパンツをなくし、ワンタック、ノータックに集約した。ツータックパンツはおじさまゴルファーにとって、おなか周りにゆとりのある安心設計のデザイン。ゆえにヤングマインドのゴルファーには受け入れられにくいデメリットがあった。その問題点を打開しようとしたわけだ。しかし「何万点と作っていた」ため、営業現場では反論もあったらしい。安定した売り上げが見込めるため、それがなくなると営業成績が落ちるという不安感からである。

「昨期は意図的に『マンシングウェア』の売り上げを下げました。『売り上げはブランド力に比例する』という持論からですが、もう一度ブランドのポジショニングを見直して、ターゲットに合う商品力の強化を進めようと考えました。ツータックパンツは『改革の一丁目一番地だ』と言って全国を行脚し、マーケティング部の部長・課長を中心に説得して回りました。中には『1型くらい作ってほしい』という声もありましたが、一切ダメだと。しかし現在現場の声を聞くと、ツータックパンツをなくした影響はほとんどないとのこと。リブランディングは正式には今春からですが、すでに反転の兆しが見えてきています」

このほか「マンシングウェア」では、3世代MDの見直しも進めている。これもリブランディングの一端だ。

「ラインが3つあると、極論を言えばSKU(在庫保管単位)が3倍になる。ヒット商品が出てもすぐに弾切れが起こる。3つブランドがあるようなものです」

「マンシングウェア」ブランドの本質は何かを追求し、それを発信する試みとして今年6月からスタートした新シリーズが「One Thing by Munsingwear」(ワンシング バイ マンシングウェア)。この狙いはメードインジャパンで「新定番を作る」ことだ。その第1弾が18色展開のポロシャツ。日本企画で材料もニッター、染色、縫製工場すべてを日本国内で手配し、生産した。色の名前も、「深緋」「瑠璃色」「常盤」など、日本古来の和名を使用している。今月13-19日、東京・JR新宿駅構内に特製のビルボードを設置。ウエアを真空パックにしたポスターで、多色展開をアピールした。上代価格は9975円(税込み)と1万円を切っている。

「いわゆる昔のポロを復刻したという単純なものではありません。クールビズ、日本を元気にする、メードインジャパンという様々な要素や思いが詰まっています。『マンシングウェア』の新定番にしていこうと考えています」