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アシックス
グローバルプロダクトマーケティング統括室長
常務執行役員 ジョン・モレンジャー氏
「足りないものはブランドのDNA」

update: 2013/03/14

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ブランドのガイドラインが必要

かつてナイキやプーマに在籍していた時、「アシックス」ブランドはコンペティターだった。日本では、ランニングシューズを中心に機能性が高く競技色の強いスポーツブランドというイメージが一般的だと考えられる。外から見ていたモレンジャー常務執行役員は「アシックス」ブランドに対し、どんな印象を持っていたのだろう。

「『アシックス』ブランドに対し以前から持っていたイメージは、honest(実直・誠実)で高いテクノロジーがあり、シリアス(真面目・本格的)だというもの。実際に入社して、そのイメージが間違っていないと感じました。競技者層からは高い評価を受けていると思います。しかし一般消費者からの認知はまだ低いのではないでしょうか。『アシックス』の商品を使ったことがない人へアプローチすることが必要だと感じています」

それでは具体的に、どういった製品を提案していくのか。

「1つはもっとグローバルにリードしていくということです。細かく言うと、『アシックス』のロゴをもっとアピールしていこうと考えています。3月1−3日にスウェーデンのヨーテボリで開催された第32回ヨーロッパ室内陸上選手権大会から、従来は『ASICS』の文字と併記していた“スパイラル”マークを独立させて表記する試みをスタートさせました。もっとロゴの露出を高めていきたい。2つ目には、ブランド自身をアピールしていくこと。人と地域に対するブランディング(ブランド構築するための活動)を強化していきます。3つ目はブランドの打ち出し方を考えます。現状、ブランドイメージとその打ち出しが必ずしも一致しているとは言えないので、そこを見極めたいと思います」

ここで1つ、素朴な疑問が湧く。同社は自社の個性を保持するため、社内で「アシックス DNA」というものを定義している。自由な発想でブランド価値を高めることは分かるが、「アシックス」ブランドの本来のイメージから逸脱してしまう恐れはないのだろうか。

「『アシックス DNA』は確かに大事ですが、これはコーポレート(企業)のDNAだと思います。足りないものはブランドのDNAです。ブランドのガイドラインはすでに存在しますがこれはロゴの使い方などの決め事で重要な決め事ではありません。『アシックス』ブランドのやって良い事と悪い事を決めるブランドのガイドラインが必要だと思います」