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ミズノ 取締役 七條毅氏
(グローバルアパレル事業・グローバルアパレルプロダクト本部担当)
日本市場は競技主体に、海外はランニングとマルチで開拓

update: 2012/08/06

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国内はマルチトレーニングがけん引

国内の成長分野になっているマルチトレーニング

国内の成長分野になっているマルチトレーニング

国内のアパレルビジネスは目下、堅調である。競技分野が60%を占めることもあり、昨年は震災の影響も最小限にとどまった。中でもけん引役になったのはマルチトレーニングウエア。メジャーリーガーのイチロー選手やサッカーの本田圭佑選手をキャラクターに起用したラインが前年比115%と、新しいトレーニングウエアのスタイルとして広く受け入れられた。

「国内はチームウエアの供給を引き続き強化していきたい。ランニングを核としたマルチトレーニングを積極的にやりたい。海外では、成熟した市場にはランニングを中心に高付加価値商品を投入、発展途上の市場ではマルチトレーニングで店頭のシェアを高める。国内は中長期的には高齢化が進むので、ウエルネス的な分野を強化したいと思います」

マルチトレーニングウエアは大きく3つのカテゴリーで展開している。競技志向者層をイメージした「プロフェッショナル」、デザイン性を取り入れた「レボリューション」、よりデザイン性を重視した「カラーズ」である。

「『プロフェッショナル』は競技志向の人が多いでしょう。『カラーズ』は13年春夏から『ネクスト』という新名称に替わります。『ネクスト』は色の使い方、ウイメンズのシルエット、『プロフェッショナル』で使っていたMC(ミズノ独自のラインデザイン)ラインをデザインアクセントに使いました。来春からは女性向けのソーシャルランニングも強化していきたいと考えています」

ビジネス・健康分野など新規市場も視野に入れる

機能性を生かし、国内新規市場の開拓も視野に入れている。全社を挙げて強化する分野の1つに掲げているのがビジネス・健康市場である。

「新規市場の開拓について、アウトドアでは雨に対する性能が評価されているので、釣りの市場へも投入したい。あとは節電ビズをきっかけに、ミズノの機能素材『ブレスサーモ』『アイスタッチ』をアクティブビジネスシーンみたいな形で売り場を作っていきたい。『ブレスサーモ』『アイスタッチ』の廉価モデルで新しいチャネルを開拓する計画もあります」

機能肌着の企画・提案は、海外市場では国内ニーズとその方向性がやや異なるようだ。

「欧州は1枚でも歩けるような『パフォーマンススポーツアンダー』という呼び名で、冬のランニングやインドアスポーツの切り口で販売しています。秋のランニングの中心商品ですが、北米では今年の秋くらいから強みの野球とバレーボール市場へ向けて、野球のトレーニングのウオームアップやバレーのアウターなどで、肌着ではなく中綿や裏地などの形で『ブレスサーモ』を中の素材として訴求したものを秋冬用のミズノのスポーツウエアとして提案します」

今後、国内外市場で新しい商材が順次、投入される。どこまで新規市場、新規顧客が開拓されるのか注目点だろう。

略歴
七條毅(しちじょう・たけし)氏 1961年生まれ。84年3月。ミズノ入社。2005年3月、アスレティック事業部マーケティング部長。10年3月アパレル企画生産本部本部長。12年3月、グローバルアパレルプロダクト本部本部長。12年6月から現職。