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ゴールドウイン
大江伸治・取締役副社長執行役員総合企画本部長
財務体質が改善、増収基調に乗る

update: 2012/06/25

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海外はウインターを重点強化

グローバル展開を強化するウインター「ゴールドウイン」

グローバル展開を強化するウインター「ゴールドウイン」

国内市場を主体に増収増益を達成したゴールドウイン。連結売上のおよそ60%を海外が占めるアシックスや、30%前後の比率があるミズノやデサントと異なり、連結売上の90%以上を国内で稼いでいる。来年度以降の取り組み分野に挙げられると予想されるが、海外市場の本格開拓も今後の課題の1つだ。現在は「ゴールドウイン」ブランドでウインターを中心に欧米で展開する。

「欧州や米国のウインタービジネスはスイスに拠点(ゴールドウインヨーロッパAG)を作り、人員を送り込んでいます。ウインター市場の拡張はグローバル展開しかないと覚悟を決めて取り組むつもりです。商品企画も刷新して、乾坤一擲でやります。これまでの延長線上ではなく、オリジナルブランドの『ゴールドウイン』でやるわけだから相当、全社を挙げて強化します」

昨今の欧米市場、特に米国で同社の追い風になる可能性のある傾向が見られる。数年前から散見されるトレンドだが、ウインター市場がアウトドアとクロスオーバーしているのだという。

「米国のウインター市場を見ると『TNF』が主役です。スキー売り場では『TNF』『マーモット』『ホグロフス』といったアウトドアブランドが一緒に並んでいる。『コルマー』や『スパイダー』よりもプレゼンス(存在感)が高いくらいです。今期からアウトドアとウインターの組織が1つになりました。われわれも市場に合わせて組織を一体化することにより、当社の持つ経営資源をフルに動員して欧米の拡販に取り組みたい。経営資源やノウハウはアウトドアに一番蓄積されているので、それを使わない手はありません」

一方、同じ海外市場でもアジアについては慎重な姿勢である。同業他社をはじめ日本企業の成功事例が明確ではないことも一因のようだ。

「アジアはなかなか難しい。今春から中国で『MXP』(消臭機能を持つアンダーウエア)の販売をスタートしましたが、まだ実験販売の段階で今後の見通しは立っていません。やるとしたら『ゴールドウイン』ブランドだが、まだ何をやるかイメージが湧いてきません…。中国市場は慎重に行きます。むしろ国内でこれだけ売っているということを強調したい。バーチカル(垂直的)に一気通貫でSPA化、リテイル化を進めているわけですから」

略歴
大江伸治(おおえ・しんじ)氏1947年生まれ。71年4月、三井物産入社。99年7月、同社本店繊維本部長付シニアスタッフ。00年6月、ゴールドウイン常務取締役として出向。03年1月、三井物産サービス本部本部長補佐。04年4月、同社理事コンシューマーサービス事業第一本部副本部長。07年6月、ゴールドウイン取締役専務執行役員。10年4月、副社長執行役員事業統括本部長兼総合企画本部長。12年4月から現職。