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グンゼ(株)取締役インナーウエア事業本部本部長 小澤七洋氏が語る
「アンブロ」の導入、スポーツ系インナーの拡充を目指す!!

update: 2012/05/07

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ボリューム品の小ロット化を目指す

カジュアル寄りの「ボディワイルド スポーツ」

カジュアル寄りの「ボディワイルド スポーツ」

スポーツ分野とも関連するが、インナーウエア事業本部として強化・拡大していくのが「オンデマンド」(要求があったときに供給する)生産だ。すでに「ボディワイルド」で展開しているが、好みの色柄のアンダーウエアが1週間足らずで手元に届くオーダー生産など、同社が京都・宮津工場を拠点に新しい生産の仕組みを作ろうとしている。

今までは大量生産をいかに安く、安定した品質でスピード感を持って行うかが求められていた。同社もこの仕組みを確立したことで市場の支持を得た。しかし昨今は「ユニクロ」に代表されるカテゴリーキラーの台頭により、こうした大量生産・安定品質・安定供給という仕組みは珍しいものではなくなった。

「NBの差異化にもつながるのですが、ボリューム品を小ロット化する試みを進めているところです。コストを考えたら1枚よりも大量に同じものを作った方が安くつくのですが、その従来の仕組みとは異なる新しい仕組みを作りたい。国内の生産状況を考えると海外の生産拠点と組み合わせないとボリューム品の供給に追いつかないと思いますが、鮮度やそのほかの付加価値により、NBの存在感を高められるのではないかと…。すでに現行のオンデマンドでは、ボリューム品と変わらない程度のコストで生産できるようになってきました」

供給過多と言われて久しいが、「オンデマンド」生産は、成熟した国内市場のニーズを効率良く機会ロスを減らしながら掬い上げていく1つの方法として今後成長する可能性がある。

コンプレッションアンダーでもオーダーを模索

スポーツシーンのコンプレッションアンダーにおいても、このオンデマンド生産を試みようとしている。5月にグループ会社のグンゼスポーツが運営するフィットネスクラブにおいて、「カスタムメイド コンプレッションタイツ」の計測会および受注会を開催する予定。3D計測器を使い、各人の体形を読み込み、そのデータを基にコンプレッションアンダーをオーダー生産する。

価格は1万2600円(税込み)。競合他社の価格が既製品で1-2万円平均の中、フルオーダーで1万円前半という設定はかなり安い。リードタイムは2週間。着圧による効果の科学的数値の裏付け――いわゆるエビデンスも測定したという。

このエビデンス=機能的裏付けがある点が重要で、スポーツブランドが他ブランドと差別化できる要素になっている。グンゼは肌着専業メーカーだが、機能性の裏付けがユーザーに受け入れられれば、ワコールの「CW-X」のようなコンプレッションアンダーブランドとして認知される可能性がある。

略歴
 小澤七洋(おざわ・ななみ)氏 1975年、グンゼ入社。2008年、執行役員メンズ&キッズカンパニー次長。2010 年、取締役兼執行役員アパレルカンパニーインナーウエア事業本部長CLO。2012年4月から現職。