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決算展望 ②デサント──苦戦が続く日本、韓国ビジネス

update: 2021/05/07

デサント、2020年3月期 財務数値一覧(表1)

デサント、2020年3月期
財務数値一覧(表1)

主要な国内上場スポーツ企業の2021年3月期業績の見通しを展望する。第2回目はデサントを取り上げる。China(中国)市場を除き、期を通じて苦戦傾向にあった。通期の業績見通しも下方修正している。なかなか浮上のきっかけをつかめないでいる。

China市場の「デサント」ブランドが健闘

デサントも他社同様、コロナ禍の影響を大きく受けた1年だった。主力市場の1つ、日本は店舗閉鎖もあり、苦戦。不買運動の影響が残るデサントコリア(韓国)ビジネスも足踏みの状態が続いている。China市場で、Anta社と合弁事業を展開する「デサント」ブランドは引き続き好調だが、ほかの地域の落ち込みをカバーするまでには至っていない。

デサント、2021年3月期 業績予想(表2)

デサント、2021年3月期
業績予想(表2)

第1四半期は減収、損失を計上。第2四半期も減収、損失を計上するに至った。第3四半期も減収、損失計上だったが、四半期損益は黒字を確保した。持分法適用関連会社の Descente China Holding Limited(DCH)の再編による特別利益──約64億円の計上によるものだ。本業のスポーツ事業では収益を上げられていない。

第4四半期もコロナ禍の影響が続くと分析。通期の業績見通しを下方修正している。2月に公表した通期の見通しは、売上高960億円、営業損失20億円、経常損失12億円。前述したDCH再編の特別利益により、当期純利益は50億円。

財務面は安定している。「効率性指標」は伸び悩んでいるが、「流動性指標」では、当面の心配材料は見当たらない。D/Eレシオは0.051倍。自己資本比率も微増している。資金も確保できている(第2四半期時点)。販売力の向上が、業績回復のカギを握っている。(続く)