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主要外資系スポーツメーカーの業績展望 Vol.3「PUMA 」
各地域・品目で増収、バランスのとれた伸び

update: 2020/01/29

PUMA, 2018年度・2015年度 財務数値一覧(表1)

PUMA, 2018年度・2015年度
財務数値一覧(表1)

外資系スポーツメーカーの本決算ラッシュを控え、主要各社の業績を展望する。第3回目は「PUMA」(プーマ社)を取り上げる。ここ数年間は親会社が変わるなど、経営環境が安定していなかったが、業容は着実に拡大している。一時はアンダーアーマーが世界第3位の売上規模を確実にするかに見えたが現在、ベスト3の座を占めているのはプーマ社だ。

2019年度も2ケタ増で推移

プーマ社の業績比較には、2018年12月期および2015年12月期の数値を使用した。売上規模は、2015年度が33億8,700万ユーロ(約4,267億6,200万円、1ユーロ=126円で換算)。2018年度には46億4,800万ユーロ(約5,810億円、1ユーロ=125円で換算)にまで拡大した。

PUMA, 2018年度・2015年度 地域別・セグメント別売上高(表2)

PUMA, 2018年度・2015年度
地域別・セグメント別売上高(表2)

利益面では、営業利益(EBIT=税引前利払前利益)が2015年度は9,600万ユーロ(約120億9,600万円)だったが、2018年度には3億3,700万ユーロ(約758億2,500万円)と大幅に増益している。同様に税引前利益(EBT)も、8,500万ユーロ(約107億1,000万円)から3億1,300万ユーロ(約391億2,500万円)へ増加した。

2019年度(2019年3月期)も第3四半期まで、増収増益、2ケタ増で推移している。順調に収益が拡大している。財務面も安定しており、有利子負債の計上がないため実質、無借金経営である。商品回転率は2018年度で2.8とやや低いが、売上総利益率(粗利率)は48.4%で、交差比率は135.5。ファッションアパレルブランド並みの効率だ。

EMEA(欧州・中東・アフリカ)が主力地域に成長

PUMA、2019年12月期 第2四半期 財務数値一覧(表3)

PUMA、2019年12月期
第2四半期 財務数値一覧(表3)

地域別売上高では、興味深い変化がある。2015年度に主力だった地域は「Americas」(米州)で13億1,000万ユーロ(約1,650億6,000万円)。「EMEA」(欧州、中東、アフリカ)は12億5,800万ユーロ(約1,585億800万円)で2番手だった。それが3年後の2018年度には立場が逆転する。米州も16億1,200万ユーロ(約2,015億円)と引き続き成長しているが、EMEAの売上規模が18億ユーロ(約2,250億円)と上回った。ほかの2地域の陰に隠れて目立たないが、「Asia/Pacific」(アジア・太平洋)も順調に売上規模を拡大している(表2を参照)。

商品別売上高では、「Footwear」(フットウエア)が引き続き主力だ。売り上げに占める比率も約45%で、2015年度から大きな変化はない。2018年度の実績は、21億8,400万ユーロ(約2,730億円)だった。「Apparel」(アパレル)も2018年度で16億8,700万ユーロ(約2,108億7,500万円)と順調に伸びている。