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アシックス、中計達成のための「アクションプラン」に挑戦中

update: 2019/01/15

アシックス、2018年12月期 通期見通し(表1)

アシックス、2018年12月期
通期見通し(表1)

国内上場スポーツメーカーで売上規模が最大のアシックス。2018年12月期の連結決算がまもなく開示される(例年2月半ば)。収益に貢献してきた米州および欧州ビジネスの不振が響き、通期は減収減益の見通しである。昨秋、中期計画達成のための「アクションプラン」を策定し、収益性の回復に本腰を入れ始めた。通期見通しのポイントをまとめた。

通期は減収減益の見通し

同社は昨年11月の第3四半期決算の開示に合わせ、2020年度を最終年度とする中期経営計画「ASICS Growth Plan(AGP)2020」の数値目標を達成するための方針や項目を明示した「アクションプラン」を公表した。組織の効率化を図ると共に、高い収益性が見込める分野へ優先的に投資・強化する内容である。

アシックス、2018年12月期 第3四半期(表2)

アシックス、2018年12月期
第3四半期(表2)

2018年12月期の業績見通しは、前述の通り、米州および欧州ビジネスの不振が影響し、減収減益。当期純利益は「現時点で合理的な見積もりが困難であるため」(2018年11月2日時点)、見通しの数値を公表していない(表1を参照)。

「アクションプラン」ではそのほか、好調を持続している「オニツカタイガー」ブランドの組織を一本化して、効率化を図った。課題の北米地域の再強化も進めている。ランニングシューズ(パフォーマンスランニング)において、高校生から大学生など若いランナーの新規開拓に力を入れる。

アシックス、2018年12月期 第3四半期 分類別・地域別売上高(表3)

アシックス、2018年12月期
第3四半期 分類別・地域別売上高(表3)


ECビジネスも強化策の1つ。直営店など、いわゆるDTC(Direct to consumer)と言われる直接、エンドユーザーと接点を持つビジネスの強化を進めているが、ECもその一環だ。ナイキやアディダスなど、外資系スポーツメーカーも重点的に強化している分野である。2020年度には売上高320億円、営業利益58億円という目標を掲げている。

また、かねて課題になっているアパレル事業も強化ポイントの1つ。売り上げの約80%を占めているのがスポーツシューズ類。外資系など他社の場合、シューズとアパレルを収益の両輪にしているケースが多い。利益率の高いアパレルの強化は、収益性改善に大きく貢献することが期待できるほか、偏った収益構造を回避するというリスクヘッジにもつながる。2020年度には売上高750億円、営業段階で黒字化を目指している。