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NIKE,Inc. 2018年5月期 連結決算
主力の北米が苦戦、増収・減益に

update: 2018/07/02

ナイキ社、2018年5月期 財務数値一覧(表1)

ナイキ社、2018年5月期
財務数値一覧(表1)

NIKE,Inc.(ナイキ社)の2018年5月期の連結決算は増収を達成したが、主力のNorth America(北米)が苦戦した影響で、減益に至った。北米以外の地域は増収・増益を達成した。China(中国)を中心としたアジア・太平洋地域が2ケタ増と好調な推移だったが、売上規模の大きい北米の不振がマイナス要因になった。

アジアを中心に海外ビジネスが健闘

連結売上高は363億9,700万米ドル(約3兆9,308億7,600万円、1米ドル=108円で換算)、6.0%増と増収を達成した。売上高総利益率(粗利率)は43.8%(0.8ポイント減)と減少した。販管費率が増加したこともあり、営業利益は44億4,500万米ドル(約4,800億6,000万円、同)、6.4%減と減益に至った。税引前利益は43億2,500万米ドル(約4,671億円、同)、11.5%減と2ケタの減益(表1を参照)。

主力の「NIKE」ブランドでは、直販の売上額が104億2,800万米ドル(約1兆1,262億2,400万円、同)、14.8%増と2ケタの成長。ブランドに占める比率も30.2%(2ポイント増)と増加している。Wholesale(卸)ビジネスでは、RunningおよびSportswear、Football等が好調に推移した。

ナイキ社、2018年5月期 地域別・ブランド別売上高(表2)

ナイキ社、2018年5月期
地域別・ブランド別売上高(表2)

地域別では、主力のNorth Americaが売上高148億5,500万米ドル(約1兆6,043億4,000万円、同)、2.4%減と伸び悩んだ。EBIT(利払前税引前利益)は36億米ドル(約3,888億円、同)、7.1%減と減益となった。ほかの地域は全て増収・増益を達成している。売上規模の大きい北米の苦戦が収益減に影響した(表2を参照)。

当期決算から、地域別売上高のセグメントが変更されている。前期(2017年5月期)まではJapan(日本)ディビジョンの売上高およびセグメント利益が公表されていたが、アジア・太平洋地域に含まれるようになった。参考に前期の地域別売上高一覧を添付しておく(表2を参照)。Greater China(中華圏)が売上高51億3,400万米ドル(約5,544億7,200万円、同)、21.2%増と2ケタの増収。EBITも18億700万米ドル(約1,951億5,600万円、同)、19.9%増と2ケタの増益を達成した。

財務面では、商品回転率が0.2ポイント改善し、4.0回転になった。交差比率もやや好転している。自己資本比率が低下した影響で、D/Eレシオがやや悪化したが、有利子負債はほぼ前年並みの金額である。財務面は比較的安定している、海外ビジネスは好調のため、主力の北米の収益力を回復することが、最優先課題だろう。