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主要国内上場スポーツメーカー──過去5年間の収益動向を見る
第5回:ヨネックス
アジアビジネスが原動力に

update: 2018/01/29

ヨネックス、2013年3月期 財務諸表(表1)

ヨネックス、2013年3月期 財務諸表(表1)

国内の主要な上場スポーツメーカーの過去5年間の収益動向をまとめた財務分析レポート。最終回の第5回目は、ヨネックスを取り上げる。「2013年3月期」と「2017年3月期」の業績を比較する。アジアビジネスがけん引役となり、ここ数年は好調な決算が続いている。

国内も着実に成長

連結売上高は、2013年3月期に385億円(2.9%増)だったが、2017年3月期には610億円(12.7%増)と順調に増加している。これは2015年4月から、中国販売子会社において、バドミントンおよびテニス用品の直接販売を開始したことも影響している。以前は計上されなかった売り上げが加算された形だ。国内ビジネスも堅調に伸びている。営業利益は13年が8億円(33.1%減)で、17年は41億円(26.5%増)と大幅に増加した(表1・表2を参照)。

ヨネックス、2017年3月期 財務諸表(表2)

ヨネックス、2017年3月期 財務諸表(表2)

売上高総利益率(粗利率)は13年が38.8%(2.0ポイント減)だったものが、17年は43.9%(0.7ポイント増)と改善している。堅調な収益を支えているのは、主力のバドミントン関連ビジネスだ。2017年3月期も順調に売り上げを伸ばした。テニス関連ビジネスの伸びはそれほど大きくない。ゴルフ関連ビジネスは売上規模が縮小している(表3・表4を参照)。

財務面は非常に安定している。商品回転率は13年に比べると17年は0.5ポイント低下しているが、資本の回転率は高まっている。流動性指標は安定しており、D/Eレシオは0.1倍と低い水準である。

ヨネックス、2013年3月期 部門別・地域別売上高(表3)

ヨネックス、2013年3月期 部門別・地域別売上高(表3)


当期(2018年3月期)の上期では、アジアの売上推移が想定よりも低くなった。中国市場のバドミントン市場が減速したこと、それに伴い在庫の適正化が必要になったことが影響した。

ヨネックス、2017年3月期 部門別・地域別売上高(表4)

ヨネックス、2017年3月期 部門別・地域別売上高(表4)


今後も引き続き、国外市場を強化する方針に変わりはない。当期の上期は、テニス用品の国外売上が10億6,400万円(22.3%増)と堅調だった。主力のバドミントンでは125億円(0.6%増)とほぼ横ばいの推移だった。通期では増収・減益の予想を立てている。国外ビジネスの伸張は、利益の改善にも大きく関わってくると考えられる。(終り)