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東京オリンピック開催まであと5年──
中期的な経営計画を立て、飛躍を目指すスポーツメーカー
④ミズノの事例

update: 2016/04/22

美津濃、2017年度数値目標

美津濃、2017年度数値目標

最後に取り上げるのは美津濃(ミズノ)である。野球、ゴルフ、シューズなど、柱になる事業が複数あり、安定した経営基盤を持っている点が特徴だ。2015年3月期は増収したものの、経費増で減益になり、苦戦した。しかし、懸案だったゴルフ事業に復調の兆しが見られるのを機に、再び上昇カーブを描きたいところだ。

2017年度に連結売上高2,400億円を目指す

ミズノは海外展開も順調に進んでいるが、他社の急速な業績の伸びに隠れてしまっている観がある。堅調な業容拡大がなかなか株価上昇につながっていない面がある。中期的な経営の数値目標は公表しているが、明確な中期計画を策定していないことも、影響しているのかもしれない。

2015年3月期時点で公表されている中期業績目標は、3年後の2017年度(2018年3月期)に、連結売上高2,400億円、経常利益100億円という数値である。他社と比べても、非常に手堅い目標設定と言えるだろう。公表された資料には但し書きがあり、「円安によるコスト増と、米州の計画の見直しなどを織り込んだ」という一文を付け加えておくことがフェアであろう。

併せて、リージョン(地域)別および商品別の売上高目標も開示されている。リージョン別では日本が主力だが、米州、アジア・オセアニア、欧州の順番で手堅い増収計画を策定している(別表参照)。

また、商品別ではグローバル展開を意識して、シューズおよびアパレルの比率が高くなっている。エクイップメントの売り上げは大きく変わらない推移の見通しだ。けん引役になるのはフットウエア=シューズになると見ている。

正式な中計がないため、他社のように具体的な数値目標を含んだ中計の見通しを書きにくい面はあるが、粛々と現状の業容拡大策を愚直に推し進める姿勢は、1年ごとの更新の中計からうかがい知ることができる。(終り)