TOP > 企業レポート > ミズノ ベースボール バットスイング解...

ミズノ ベースボール
バットスイング解析システム「スイング トレーサー」
中期的には2億円規模のビジネスを目指す

update: 2015/04/13

1ページ2ページ次のページへ >
ミズノ スイングトレーサー。 左上がセンサー本体。 右下が専用アタッチメント

ミズノ スイングトレーサー。
左上がセンサー本体。
右下が専用アタッチメント

ミズノが5月9日から発売を始めるバットスイング解析システム「スイング トレーサー」。野球において、各人のバットスイングを科学的見地から計測し、数値化できるシステムで、改善すべき点や練習の方向性を確認することができる。「プレーヤー個人の技量を高めることが目的」(久保田憲史 ダイアモンドスポーツ事業部長)だ。

個人の技量向上が目的、チームユースも視野に

「スイング トレーサー」はスマートフォンを利用した解析システムで、専用のアプリケーションをダウンロードし、バットに外付けしたセンサーが計測したスイングデータを蓄積・分析することができる。指導者の長年の勘や経験に頼っていたスイング練習だが、この解析システムを使用することで客観的に自身のスイングを分析することができる。

バットの開発を目的に、「10年以上前からスイング解析を行っていた」(鳴尾丈司 研究開発部 主任研究員 工学博士)という同社。当時はコンピュータに有線でつなぎ、スイングのデータを収集していたという。「いずれはこういった解析サービスを提供したいという思いはあった」(鳴尾 主任研究員)が、無線で測定できる技術も進んでおらず、コスト面でも乗り越えるべき課題があった。

今回の解析システムは、セイコーエプソン社製のセンサーを採用している。機能面やコスト面で、実用化できるレベルに達していたことが決め手になった。センサーはセイコーエプソンのものを使用しているが、解析システムの中身(解析の項目や画面のデザイン等)はミズノが独自に開発した。センサー本体は2万9,800円(税抜き)。バットにセンサーを取り付けるアタッチメントが1,800円(同)。センサーはバットのグリップエンドに装着して使用する。システム使用にはサーバー料金(1カ月、選手用980円、コーチ用2,980円、いずれも税抜き)が必要だが、蓄積したデータを閲覧できるほか、専門家による技術面の解説情報も常時、提供していく予定だ。

スイングを解析する項目は8つ。バット開発ではさらに多くの項目を測定していると言うが、当システムでは使いやすさも考慮し、必要不可欠な8つの項目に絞り込んだ。科学者の目線からは早稲田大学スポーツ科学部バイオメカニクス研究室教授の矢内利政氏に、プレーヤーの目線からは元侍ジャパン社会人代表監督の小島啓民氏にその項目や内容についてアドバイスを依頼し、信認を得ている。

想定されるユーザーは「チームユースとパーソナルユースの両方が考えられる」(久保田 事業部長)というが、チーム需要が基本になると想定し、外商チームが営業活動を進めている。「思った以上に反響が大きくて驚いている。スマートフォンを使い慣れた若い指導者層からの反応は多いと思う」(久保田 事業部長)。アマチュアチームのほか、プロチームやスポーツ店からの依頼もあったという。