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帝人フロンティア スポーツ機能素材
ライフスタイル市場の規模が拡大

update: 2014/07/07

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15年秋冬展で好評だった 「デルタ<sup>®</sup>2000」

15年秋冬展で好評だった
「デルタ®2000」

帝人フロンティアでは、スポーツ素材や衣料分野においてグローバル化により力を入れている。顧客のスポーツメーカーが主力だった中国からアセアン地域を中心に生産や販売の拠点移動していく中、きめ細かい対応をとるべく、同社も海外ビジネスに力を入れつつある。一方、成熟した国内市場では構造改革を進め、より効率化した体制でシェア拡大を図ろうとしている。

15年秋冬シーズンの素材展は集客が2ケタ増

先月6月に開催された2015年秋冬シーズンの機能素材展(東京・大阪)は、来場者が10-20%増と2ケタ伸び、盛況だった。スポーツメーカーの既存顧客に加え、旧NI帝人時代のファッション系顧客にも声を掛けたことが集客増につながったようだ。帝人ファイバーとNI帝人が統合し帝人フロンティアとして再スタートを切ってからおよそ1年半が経過したが、着実にその相乗効果が表れている。東京展でも席が空いていない状態だったという。

展示会で最も関心が高かったのは新素材の「デルタ®2000」。撥水剤を使わずに2,000mmH2Oの耐水性を持たせた高密度織物だ。環境保護の観点から従来の撥水剤を使わずに耐水性を持続させる素材の開発に取り組んできた。また透湿性も1万g/㎡24h以上を達成している。2つ目には「ヒートエナジー®」提案。秋冬シーズンに必要な「蓄熱」「軽量・保温」「発熱」という機能性を活用した。タウンユースを意識した天然素材テイストの素材や製品も提案した。3つ目は「デルタ®」シリーズ。2008年ごろから徐々に展開を増やしてきたシリーズで、スポーツを中心に展開する素材だ。ニット素材の「デルタ®」や織物の「デルタ®‐WV」など展開の幅は広い。これらは今回の展示会で重視した素材で、同社の意図・思いがうまく来場者に伝わったようだ。

国内のスポーツメーカーは「ライフスタイルという名の下にカジュアル分野へ進出しつつある」(帝人フロンティア 繊維資材本部スポーツ・資材部次長兼東京スポーツ・資材課課長、中谷太一氏)と分析する。このライフスタイルはスポーツカジュアルと言い換えても差し支えないと思われるが ―― 数年前からこの傾向は徐々に色濃くなっていた。その半面、一般ファッションブランドが機能性素材に興味を持ち始め、結果的にスポーツとファッションが接近して、各市場の一部が重なるようになってきたと考えられる。

「当社はかつて“やわらかい”素材を追求してきたが、現在の市場ニーズも“やわらかさ”に対する関心が高まっている。コンフォータブル=快適性も重視されるようになってきた」(中谷氏)。日常使いを意識した「デルタ®2000」などに注目が集まった背景には、こうしたメーカーと市場ニーズの変化が関係している。