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デサントの新中期経営計画──再び目指す成長路線(下)
アジア市場で第3の柱の構築を目指す

update: 2019/09/04

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収益目標は地域ごとに策定、具体的な数字は非公表

収益性を高めていくことは分かったが、それでは具体的にどれほどの利益率を考えているのか。新中計の資料には、トップティア(一流の)スポーツ関連企業の収益性をまとめたグラフが含まれている。そこでは、トップティア企業を税引前利益8%以上、ROE8%以上と定義している。

「こうしたトップティア企業の利益率を当面の指標にしているのか?」という問いに対して小関社長は、「(連結ベースではなく)日本、中国、韓国の3地域に見合った利益率を設定し、達成を目指したい」と述べるにとどまった。トップティア企業──ナイキ社は4兆円、アディダスは3兆円の売上規模がある。3位グループ(プーマやアンダーアーマー)でも5,000億円前後だ。こうした世界のスポーツのトップティア企業の現状を踏まえた上での回答と思われる。

しかし、欧米市場を開拓してきた実績があり、特にスキーウエアでは「デサント」ブランドの知名度も低くない。「欧米市場を後回しにするのは如何なものか?」という問いには、「トップアスリートやチームとの契約は、アジア市場への販促活動に利用できる。ハイエンドなイメージを発信できるので、トップ戦略は当面、継続したい」と語った。

経営改革は、まだ緒に就いたばかりの同社。新しい価値観を社内に根付かせ、かつてのような成長路線に再び乗せることができるかどうか。まずは、通期の業績結果に注目が集まるだろう。(終り)