TOP > 企業レポート > デサント、ワコールホールディングスが...

デサント、ワコールホールディングスが包括的業務提携契約を締結
女性意識した新コンセプトのブランド立ち上げ

update: 2018/08/31

1ページ2ページ次のページへ >
デサント、石本雅敏社長 (今年7月、アパレル研究開発拠点「DISC」の内覧会にて)

デサント、石本雅敏社長
(今年7月、アパレル研究開発拠点「DISC」の内覧会にて)

デサントとワコールホールディングス(HD)が8月30日、包括的業務提携契約を締結した。①事業領域の垣根を越えた新規事業の創出、②両社の強み“モノ創り”の力を掛け合わせた商材の開発、③両社の保有する“アセット”(資産)の有効活用、の3点が主な内容だ。

シナジー効果、数百億円を期待

同日、両社の社長がワコール本社のある京都市内で会見を開いた。提携の基本方針は、前述の3つ。①の「事業領域の垣根を越えた新規事業の創出」では、“「アクティブライフスタイル」を世界中の女性に”というキーワードで、アスレジャーに代表されるファッション、スポーツ、健康、美容など様々な領域の垣根を越えた新領域の開拓を目指す。具体的には、両社間で「世界の女性へ向けた、新しいコンセプトのブランドを立ち上げる」(デサント、石本雅敏 代表取締役社長)計画だ。

2つ目の取り組み──②両社の強み“モノ創り”の力を掛け合わせた商材の開発では、「まず、コンプレッションウエアの開発に取り組む」(石本社長)。新しく競技別に特化した商品の開発を考えている。日本市場のほか、欧米やアジアなどでの販売も視野に入れる。そのほか、スポーツインナーやスイムウエアでも共同開発を進める計画だ。デサントが「イノヴェイト」ブランドで採用した新素材「グラフェン」を活用した商品開発にも取り組む。

3つ目の③両社の保有する“アセット”(資産)の有効活用では、「販路の相互乗り入れにより、販売を促進することや、ECサイトやジュニアカテゴリーでの協業も期待できる」(ワコールHD、安原弘展 代表取締役社長)。デサントが強みとするアジア地域、ワコールが強みにする欧米地域において、互いに売上規模を拡大できるというシナジー効果も期待する。「将来的には、数百億円規模の効果が得られれば・・」(安原社長)と抱負を語る。物流や生産、販売代行の可能性もあるという。

早速、提携検討委員会を立ち上げ、どの分野・商材で提携できるかを詰める方針。「短期間的できるところは数カ月のうちにスタートできる」(石本社長)見通しだ。新ブランドの立ち上げについては、「(展開時期は)いつとは言えないが、スピード感は必要だと考えている」(同)。コンプレッションウエア「CW-X」を展開するワコールは、「既存の『CW-X』ショップでデサントのウエアや(問い合わせの多い)シューズなどを販売することも考えられる」(安原社長)。できるところからすぐに取り掛かる構えだ。