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東洋紡STCの高密度ナイロン織物ビジネス
スポーツで培った機能性が他分野へ拡大中

update: 2016/08/04

「シルファイン」を使用したダウンジャケット

「シルファイン」を使用したダウンジャケット

東洋紡STCの高密度ナイロン織物ビジネスが新規分野へ拡大している。元々はアウトドア分野を中心に売り上げを伸ばしてきたが、その高機能性や素材バリエーションが評価され、ファッション系ブランドでも採用が増えてきた。

ラグジュアリーブランドなど新規顧客も開拓中

同社の高密度ナイロン織物の主力は「SILFINE®」(シルファイン)シリーズだ。主にダウンジャケットの表地などに使用されており、防風性や高い滑脱抵抗値(羽毛が抜けにくい性質)が機能面の特徴だ。超薄手、風合いの変化、“Y”字断面糸による耐久通気性を向上したタイプなど、幅広いラインナップを揃えている。

国内外のアウトドア関連ブランドを中心にビジネスを展開しているが、昨今ではファッション系ブランドへの採用も徐々に増えてきた。国内でも高い人気の某ラグジュアリーファッションブランドへダウンジャケットの表地として提供し、個性的で安定した物性に評価を得ている。スポーツ=アウトドア分野の範疇を超えて、出荷が増えつつある。

自社の敦賀工場をベースに、こうした価格的にも機能的もトップのブランドへ向けた製品を開発している。「シルファイン」の新しいタイプの開発により、風合いや機能性が異なる製品を新規のアパレルメーカへ提案することができる。

2016年度の途中経過(第1四半期)は、北米向けビジネスなどが好調で前年の約1.5倍の推移だという。少数精鋭部隊で営業活動を行っているため、急速な業容拡大は難しいようだ。しかし、着実に採用ブランドは増えているようで、今後もこうした地道な開拓を進める。

ナイロン素材ではないが、同社が展開するポリエチレン繊維「Tsunooga®」(ツヌーガ)も、カジュアル関連ブランドの採用が増えつつある。元々、アウトドア用のリュック素材として開発されたもので、軽量性と耐切創(せっそう)性(=刃物の切り傷耐性)に優れている。

スポーツシーンで培った機能性素材を、ファッションアパレルへ転用して新しい市場を開拓しようとする動きは、各素材メーカーで盛んになっている。高密度ナイロン織物ビジネスはスポーツ=アウトドアがファッショントレンドの1つになっていることもあり、ダウン系ジャケットを中心に新規市場の開拓が進んでいる。