JFW JAPAN CREATION 2010 AUTUMN/WINTER
日本ジーンズ協議会―――「JEANISM JAPAN QUALITY」
世界へ向けて素材、メーカー、副資材が合同プレゼンテーション
「JFW JAPAN CREATION 2010 AUTUMN/WINTER」が、2009年10月7日(水)~9日(金)の3日間、東京・ビックサイトで開かれた。来場者数は、2万7429人(3日間計)。内訳は、アパレル7,852人、小売1,533人、問屋・商社・企画会社1万685人、プレス296人、一般7,063人となった。
注目されたのが、今回初めて大型ブースで出展した、日本ジーンズ協議会の「JEANISM JAPAN QUALITY」。デニム素材、ジーンズメーカー、副資材の各社を一堂に集めて構成することで、こだわりのモノづくり、つまり、ジャパン・クオリティの技術力やオリジナリティ、エコ提案などを体感してもらおうというのが狙いだ。
「ジーンズ業界では、素材やメーカー、副資材のすべての企業にデザイナーがいます。それだけクリエーションにおいて幅広く、ひとつのテーマでコラボレーションできる結束力もあります。生産背景においてもさまざまな問題をクリアし、たとえば水質汚染のない工場設備を完成させ、情報も開示しています。こうしたものづくりの現状と現場をもっと知って、理解してもらうことが必要です。言い換えれば、啓蒙といえるかもしれません。現在、原綿は海外からの輸入に頼っています。綿花は農産品であり、水質の良し悪しが問われてきます。原綿の調達という問題も新しい方法を考える時期かもしれません。これまでのコスト重視でやるべきことを抜いてきてしまった反省も含め、これからは目標を高く設定することが重要ではないでしょうか。むずかしいことほど人は知恵を絞り、新しいモノを生み出してきたのです。エコ商品の開発もそのひとつでしょうね」(㈱エドウイン商事の小林道和専務取締役)
昨今の低価格競争の中、同協議会では品質だけでなく、モノづくりの背景にある伝統やこだわり、さらにはCSR(企業の社会的責任)を含めた安心・安全の水準をアピールしている。そのひとつが、環境配慮を徹底した「エコジーンズ」の試作品だ。素材から副資材、加工に至るまでを環境配慮設計にしたジーンズで、そのファブリックはロス部分として捨てられていた綿糸。これを紡績して織り上げたデニムが使われている。また、ポケットの袋地は再生ペットによるスレーキで、環境を汚しがちな金属メッキを施さないリベットボタン、リサイクルレザーパッチ、水資源を節約したオゾン法洗いによる加工などの材料や生産工程の組み合わせから作られている。見た目は他と変わらないが、試作に参加した企業の地球環境への配慮と思い入れが詰まったジーンズであり、徹底した“易リサイクル”によるジーンズを開発しているのだ。
共同作業によって実現した「エコジーンズ」の試作品は、今後もさらなる研究を重ね、完成度を上げていくという。試作参加企業は以下の通り。
素材:カイハラ㈱、倉敷紡績㈱、日清紡テキスタイル㈱
副資材:アズマ㈱、アゼアス㈱、グンゼ㈱、ナクシス㈱、㈱フクイ、モリリン㈱、YKKスナップファスナー㈱、YKKファスニングプロダクツ販売㈱
縫製:タカヤ商事㈱、㈱ビッグジョン、㈱ベティスミス(西日本地区が担当)
洗い加工:豊和㈱、タカヤ繊維㈱
また、ブース内の「藍染め体験コーナー」も人だかりができるほど毎回、盛況だった。そして、ジーンズメーカー各社もユニークなジーンズを提案していた。エドウインは、「空気」をコンセプトにカイハラと共同で開発した「AIRIZEW DENIM」(軽さ、柔らかさ)を特殊紡績・織り技術を駆使して作りあげたほか、横糸に紙との混防糸を用いたペーパーデニムによるジーンズなどを提案。説明を聞きながら実際に触って感触を確かめている人も多かった。ビッグジョンでは環境配慮商品として、ロス部分の生地や耳などを使ってランチバッグやペンケース、犬のリードなどにリメイクしていた。
ジーンズに関するモノづくりの各メーカーが一堂に会した今回のプレゼンテーションは説得力があった。分断されがちなモノづくりの工程がわかりやすく、何よりも世界レベルの技術力を知る機会にもなったはず。その意味でも、今回の大型ブース出展は意義深い。ジャパン・クオリティの奥深さをいかに見せてくれるのか、今後のプレゼンテーションが注目される。
一方、2日目のフォーラムでは、㈱エドウイン商事の小林道和専務取締役による、「世界が注目するジーンズの“ジャパン・クオリティ”」の講演が行われた。日本が世界に誇れるもの、つまり、ジャパン・クオリティをよりわかりやすく消費者にアピールし、伝えていくべき時期にあり、国産ジーンズはそれを担う立場にあると指摘。当初はアメリカの中古衣料品の輸入からスタートしたが、生地の防縮加工や理想的な色あせ感の研究など、試行錯誤を重ねて開発してきたこだわりのモノづくりが、ジャパン・クオリティを生み出してきたと説いている。
今後は、国産ジーンズの発信力をどのように強めていくか、また、ジャパン・クオリティをどう位置づけ、確立させていくか。具体的な活動が注目される。
賑わった島精機製作所のデモンストレーション、
「オーダーメイド」と「バーチャルサンプル」
島精機製作所
注目ブースでいえば、島精機製作所のデモンストレーションが目を引いた。多種多様なデザインサンプルから好みの糸と色を選び、自分だけのニットウェアを無縫製(ホールガーメント)で作り上げる「オーダーメイド」の実演だ。サイズのバリエーションもあるという。フィット感や着心地に自分好みを表現できるニットウェアは他にない、まさにオリジナリティの高いニットウェアだ。パーソナルなニーズにもきめ細かく対応できるニットのオーダーメイドは、これからのビジネスモデルとして市場性と可能性を感じさせるデモンストレーションだった。この「オーダーメイド」システムを活用し、髙島屋横浜店(10月7日~10月19日)と、髙島屋日本橋店(10月21日~11月3日)で「ニットオーダー」のイベントを開催するという。
また、ファブリックの柄をリアルに表現した「バーチャルサンプル」も提案。興味深いのは、カレイドチェックと呼ばれる、万華鏡のような発想で色を組み合わせる柄作成のソフト。イメージに近いイラストや色柄の中から色を選ぶだけでさまざまなチェックができるというもので、ストライプの太さや色構成は自在。それを専用の紙にプリントアウトすると本物の生地と比べても見分けがつきにくいほどのリアルな仕上がりで、マス見本としても十分使える。さらに、プリント柄の送りつけも可能という優れモノ。ニットだけでなく、テキスタイルの分野でも使えるソフトが相次いで開発されている。
日清紡
クラボウ
カイハラ
グンゼ
エドウイン
ビッグジョン
(有限会社ビジョンクエスト・田中千賀子)