アウトドアファッションが再来か?
アメリカでは男っぽい着こなしで不況を乗り切る気風も
最近アメリカの雑誌「ニューズ・ウイーク」に興味深い記事が掲載された。エリート学者やセレブのビジネスマン達は、今まで愛用していたディオールの細身のようなスーツスタイルをやめて、昔風の無骨なハンティングジャケットやマッチョなブーツなどのファッションに眼を向け始めたというニュースだ。先の見えない景気動向への不安感からか、古きよき時代の右肩上がりで開拓精神にあふれていた時代の衣服への回帰も始まっているという。「メトロセクシュアルファッション」(同性愛者ほどではないが、女性っぽくてやや軟弱な流れ)が現代メンズファッションの最先端だとも考えられていたが、今回の動きはまったくその逆を行くものだ。
そこで周囲を見回して見ると、古きよき時代の服種がアメリカ本国の売場にはさほど多くないことに気付く。婦人物やキッズ、小物やインテリアなどとトータルな品揃えだが、ソフト化されすぎて真に男っぽいブランドが少ないことに、改めてがっくりするという訳か。今回の現象はSPA型の全米トータルな商品企画への反流とも解釈できる。
同記事で人気の事例に挙がっているのはウールリッチ社の「ウーレン・ミルズ」ブランド。ライフル片手に野山を歩いた昔ながらのチェック柄のハンティングジャケットや「レッドウイング」のブーツなどだ。我々日本人のある一定の世代は1970年代の「アウトドアファッション」のパーツを強く意識に留めているが、本国アメリカでは大量生産マーケティングや、海外への生産依存などで影を潜めてしまっていたようだ。「ウーレン・ミルズ」ブランドにはペンシルバニア州の自社「国産」工場で作られるという点も、今のアメリカの男達の「国粋主義」をくすぐる。確かに昔のアメリカの服は素材も縫製も頑丈だった。
実はこのブランドには日本人の鈴木大器さんがディレクターとして活躍している。ネヘロンテス社のデザイナー兼オーナーとして活躍する一方、彼のあこがれた機能性優位の感性がアメリカに逆上陸したとも言える。以前にもリーバイスの日本支社が、本国では忘れかけていた伝統品番「501」に執着し、日本の消費者の喝采を受けたことがある。このやり方がそれ以降の全世界的なリーバイスの定番重視の考え方に影響を与えたともいわれている。また最近アメリカで
大人気のワークウエアー風ファッションの権威、クリストファー・ロワロン氏はフランスから移住したデザイナーだ。
ご本家アメリカの衣服の精神ルーツが、外国人の刺激によってよみがるところが「合衆国」たるゆえんか。
ともあれ今年の後半、アメリカの街頭で、「ニューズ・ウイーク」の予想のように、古きよき時代の
防寒アウトウエアーファッションなどがリバイバル流行しているかどうかが見ものだ。