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繊維から作るエタノール燃料への期待
1リットル30円のバイオエネルギーは可能か?

繊維から作るエタノール燃料への期待

伊藤忠商事は9月、ブラジルの痩せた「休耕農地」を利用して食用ではない植物を栽培し、「バイオ燃料」を作る合弁事業に参画すると発表した。一時的には落ち着いてきた感もあるが、ガソリン燃料の価格高騰は世界的なダメージだ。この状況の中で開発が急がれるのが「バイオ燃料」の技術、つまり植物などの有機物(バイオ)の成分を発酵させてエタノール(アルコール)を生成し、ガソリンの代替や補完に使おうというもくろみだ。

数億年前から眠っている無機質の化石である石炭や石油(炭素)を燃やして、新たに炭酸ガスを多量に放出する行為をやめ、年ごとに光合成で植物が取り込んでくれている炭酸ガスの分量にほぼ等しいものを、車などを走らせるためのエンジン燃焼で放出しても、総量でバランスが取れるという理論だ。

アメリカでは農作物のコーン(とうもろこし)を、この材料に充てるというイメージで誤解が生じ、食料不足の時代に逆行するという反論もあった。

米国の新聞「ワシントンポスト」が掲載した情報によると、実は林業からの廃棄物、食用には向かないので廃棄される農産物、生活から出る有機(動植物由来の)廃棄物、さらには下水道の汚泥などからもこのエタノールは効率的に抽出できるという。同紙記事の分析によると10年以内に1,400億リットルもの量のバイオ燃料を、1リットル換算約30円(邦貨換算)に近い価格で生産することも可能という。(ガソリン税加算などは別の話だが・・。) 企業家、消費者へのメリットの他に重要なのは、このような目的の農地開発により、貧困に苦しむアフリカなどの農民を救うことも視野に入れられるという。電気(電池)エネルギーの開発と並んでこれらバイオエネルギーの開発は人類にとっての最重要課題だ。

さて実は「繊維」も広い意味でのバイオなのだ。細長い繊維分子「セルロース」は充分にこのバイオエタノールの材料になり得る。いや非常に素性の良い純度の高い資源といえる。8月には四国今治地区のタオル業者グループが生産工程で発生する「タオルくず」からエタノールを製造する計画を発表した。着用済みの衣料品のリサイクルはもとより、日本の各繊維産地が生産工程のゴミを削減し、新たな燃料の生成に寄与出来るとなると、環境に対する役割や貢献の大きさは計り知れないものになるだろう。

象徴的にいうと、ガソリンスタンドで「こぼれた燃料を拭く役目」に過ぎなかったこれまでのタオルが、姿を変えて今度は「車のタンクに注ぎ込まれる燃料そのもの」に出世する日が近いのかもしれない。