阪神梅田本店、「第5回 デニム博」
女性客の来場が増加
update: 2019/09/26
《店頭レポート》
阪神梅田本店が9月11-17日の7日間、「第5回 デニム博」を開催した。今回は“ライフスタイル”提案に力を入れた効果が表れ、前回よりも女性客の来場が増加した。出展者数が減ったこともあり、売上額はやや下がったが、着実にリピーターは増えているようだ。
リピーターが増え、知名度も高まる
「デニム博」は今回で5回目を数える。建て替え前の旧館で始まった同催事は、初回から好評を博し、初秋の9月頃に開催するイベントとして定着している。昨今、百貨店におけるアパレル関連の催事がこれだけ続く事例は珍しいだろう。元々、国内のナショナルブランド(NB)のジーンズを主体にした「ジーンズハウス」という自主編集売り場が強みだった同店。新館へ移設後は、「パンツショップ」と名称を替え、4階レディスフロアで運営を続けている。
この“国内NB”を大切にする方針、価値観がベースとなり、ジーンズの素材であるデニムを軸に新しい客層へアピールできないかと考えられたのが「デニム博」だった。既存顧客の活性化、新規客の開拓を目的に、デニムやジーンズを扱う専業メーカーが一堂に会する催事を企画した。
今回、5回目の「デニム博」のテーマは「暮らしになじむデニムを集めてDENIM LIFE」。デニム地を使ったワンピースなどのレディスウエアや家具、バッグなどの雑貨など、新しい商品企画を展開する企業を募った。出展社数は20から18へ減少したが、「生活の中にあるデニムを表現する」という狙いで、世界観の演出に軸足を置いた。
ライフスタイル提案は一定の評価を得たようだ。家具や日用品などにデニムを採り入れたブランド「it’s a Beautiful day」や、帽子やワンピースを企画・提案した「eritto with ROUBOU」などに関心が集まった。若い層に加え、年配女性の来場も増えたようだ。また前回、出展した児島のジーンズストリートに店舗を構えるブランド群のリピーターも増えている。
「パンツショップ」にも相乗効果
「デニム博」の開催は、元売り場の「パンツショップ」にも相乗効果を及ぼしている。昨年春の新館オープンと共にスタートした同売り場だが、約1年半が経過し、ジーンズショップとしての認知が高まってきた。今夏のセールは苦戦したが、プロパー販売が2ケタ増と好調に推移した。40-50代の感度が高い女性客が中心だ。
「パンツショップ」の売上比率、商品構成共に60-70%を占めるのがジーンズ商材。売れ筋ブランドは、やはりNBがメーンだ。ビッグジョンの「ブラッパーズ」、「レッドカード」などが人気である。「アッパーハイツ」も売り上げを伸ばしている。そのほか、通勤向けのパンツ需要も取り込んでいる。
売れ筋ジーンズの傾向は、フレア系のシルエット、股上が深いモデル、ストレッチ性のある素材。特にNBでは、加工は中濃色で、ヒゲ加工は強過ぎないテイストが買われている。グループ百貨店の阪急うめだ本店では、同じブランドでもよりトレンドを意識した個性的なテイストの品番が売れているが、阪神梅田本店では少しおとなし目が支持されている。両店で顧客層の住み分けできているようだ。
今後もNBジーンズを核アイテムとして、同ショップの強化を図る方針だ。来春以降は、従来のブルーやブラックジーンズに加え、“ブロンズ”色に加工された新しい品番も拡充する。ジーンズの品揃えの幅を強化する。
(樋口尚平)