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財務分析レポート
主要上場アパレルメーカー5社、上期決算まとめ
天候不順や百貨店の苦戦もあり、伸び悩む結果に

update: 2016/10/27

2017年2月期 第2四半期 財務諸表(表1)

2017年2月期 第2四半期
財務諸表(表1)

主要上場アパレルメーカー(5社)の上期決算(2017年2月期第2四半期)が出揃った。天候不順などの影響もあり、収益の確保が難しく、伸び悩んだ傾向が色濃い決算になった。概して、婦人服(レディス)ブランドが苦戦傾向にあった。

成長著しいECビジネス

対象メーカーは、オンワードホールディングス(HD)、アダストリア、TSIホールディングス(HD)、レナウン、良品計画の5社(注釈:良品計画は売り上げのおよそ半分が非衣料)。売上規模は小さいが、参考に昨年、上場したTOKYO BASE(旧STUDIOUS)の業績も併せて掲載した(表1参照)。

増収増益を達成したのは良品計画。実質的な増収増益はアダストリアだ。これは2015年3月の3社合併に伴い“のれんの償却”が発生したことによる。日本会計基準ではのれんの償却を販管費に計上する関係で、営業利益が目減りしているためだ。のれんの償却前利益(いわゆるEBITDAに相当)は、89億2,000万円で、増益となる。

TSI HDは黒字回復した。百貨店、および主力のファッションビルや駅ビルなどの「非百貨店」が苦戦したが、EC(Eコマース)ビジネスが109億円(26.8%増)と健闘した。レナウンは、主力の百貨店が伸び悩んだが、量販店(GMS)のレディスが108%と健闘。規模は小さいがECも伸びている。また、TOKYO BASEは出店が続いて成長期ということもあるが、増収増益を達成した。ECビジネスの伸びも大きく、11億4,400万円(62.5%増)、売上比率も31.7%と高い水準にある(うちゾゾタウン経由が約90%)。

概してレディスが苦戦傾向に

2017年2月期 第2四半期 ブランド別売上高(表2)

2017年2月期 第2四半期
ブランド別売上高(表2)

概して、レディスブランドが苦戦傾向にあった。アダストリアや良品計画、TOKYO BASEなどレディスが健闘したメーカーは、決算数値も安定している傾向がある。前述したECの伸びも、業績への影響力が高まってきた。

オンワードHDは主力ブランドの「23区」「ICB」などが健闘したため、売上高総利益率(粗利率)が改善。販売管理費率の増加も最小限に抑え、営業段階で増益を達成した。最も売り上げ規模の大きい「23区」はプラス成長だったが、「組曲」「J.プレス」などは苦戦した(表2参照)。

アダストリアは主力の「グローバルワーク」が健闘した。「ローリーズファーム」は減収だったが、そのほかの基幹ブランドが安定して増収を達成した。TSI HDはブランド間で格差が出た。上位主力ブランドは比較的安定していたが、中位以下では苦戦傾向が目立った。レナウンは百貨店、レディスが苦戦し、損失を計上するに至った。良品計画は全カテゴリーで増収を達成している。主力の1つ「婦人ウェア」も7.1%と堅調だった。

通期見通しでは、減収を予想しているメーカーが少なくない。表1に掲載した6社のうち、3社が減収予想である。慢性化している暖冬の影響や競合の激化など、外的環境が芳しくないというのが主な理由だ。通期では、どこまで盛り返せるだろうか、注目が集まる。                                   

(樋口尚平)

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